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December 30, 2005

第73話 6年前

 日系企業の単身赴任の駐在員たちは多くの場合、年末年始は日本に帰国する。が、各社1~2名ほど、万が一の出来事に備え“越冬隊員”として残すケースが多いのではないかと思う。
 私の場合は“運悪く”6年前にその任務が回ってきてしまった。6年前といえば、Y2Kと呼ばれる2000年問題のタイミングだ。ワクワクした気持でその瞬間を迎えるのでなく、問題発生しないことをひたすら祈り、緊張しながらその時を迎えるのである。その日は朝から最終点検や問題が起きた際のロールプレイなど、気が休まることなく夜を迎える。多くの計器類に時間のプログラムが含まれているから、どこで問題が起きるか分からないからだ。一応、全ての計器類の状況は2ヶ月くらい前から、チェックされていたので多分大丈夫だろうと見られてはいたが、油断は禁物だ。ローカル社員のうちマネージャクラスもほぼ全員徹夜で詰めている。
 “その瞬間”はあっけないくらい、あっという間に通り過ぎた。数分おきにチェック表に基づいた中間報告が届けられる。異常は見られないようだ。10分、20分と次第にマネージャ達も安堵の表情に変わっていった。それでも全てのチェックが終わるまで安心は出来ない。結局、作業が完了したのは朝8時をまわった頃だった。24時間ぶっ通しの仕事で太陽は黄色く見えるし、ドッと疲れが押し寄せてきて、帰路に着く車に乗り込んだと同時に眠り込んでしまった。
 ここ数十年、酒も飲まずヘトヘトになって新年を迎えたのは後にも先にもこのときだけである。

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Comments

2000年問題、思い出します。
私がいた職場も、その時は24時間交代勤務の場所でしたので、12月31日から元旦の朝まで出勤してました。まあ、何ヶ月も前から、すべてをチェックしていたので問題はないはずでしたが、やはりどこに盲点があるかわからないので心配でした。あれからもう、5年が過ぎたのですねえ。年をとるはずだ。(笑)

Posted by: dragonfly | December 31, 2005 at 03:08 AM

ああ、やはりそのような方がたくさん居られたのですね。あの時の疲労感、駐在員に超過勤務手当があるわけでもなく、達成感があるわけでもなく、あまり楽しい思い出ではないですね。

Posted by: 富嶽庵 | December 31, 2005 at 12:01 PM

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