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March 31, 2006

第106話 四輪から二輪へ?

NNAの記事にこんなのがありましたが・・・

二輪車にサイドカーを付けて客を運ぶトライシクルの数が大幅に増加している。税金負担や不十分な道路整備などを背景にほかの公共交通機関の車両数が減少傾向にあるのとは対照的。開業資金や運営費が安いことがトライシクル人気を支えているとみられる。
陸運局(LTO)がまとめた昨年末時点の公共交通機関全体の登録車両数は、前年比1.5%増の89万8,028台だった。このうちトライシクルの登録台数は同5.3%(2万9,358台)増の58万4,698台に達し、全体の65%を占めた。
トライシクルは狭い路地などを走る庶民の足。マニラ首都圏では数が多く、交通違反を取り締まれないという問題も起きている。
一方、ジプニーの登録台数は2.0%(4,229台)減の21万348台だった。1990年以降でジプニーの台数が減少するのはこれで3回目。また、バスは7.0%(1,695台)減の2万2,385台、タクシーは14.6%(6,904台)減の4万442台に急減した
(3/27NNAより引用)

 時代の流れから言っても、逆行してはいまいか?中国でもベトナムでも自転車がオートバイになり、そして四輪車へと。フィリピンでは四輪から二輪ですか・・・

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March 29, 2006

第105話 強姦犯は誰だ(2)

 スズキもイトウも会社にはいない。大体において加害者の名前のスズキとイトウには類似性がなく、日本人にありそうな名前を適当に言っているのだろう。そうかと言って、彼らの前に日本人を並ばせたら、とんでもない結末が見えている。女性が適当に「あっ、この人です。私を強姦したのは。」と誰かを指差せば、万事休す、である。
 とにかく、彼らの目の前に日本人が姿を現してはいけない。彼らにとって日本人なら誰でもいいのだ。構内放送でゲート付近に近づかないように、と日本語でアナウンスし、携帯と内線電話を使って、全員に状況を伝達した。
警察官たちは一向に引き下がる気配がなかったが、
「ここにはスズキもイトウもいないが、明日なら日本人全員がいるのでまた明日来て欲しい。」とU課長がいうと、やっと立ち去った。
 我々は、直ちに日頃懇意にしていたプレジデンシャル・アシスタントのF氏に相談した。マクタン第2ブリッジの袂に建っている銅像は彼の父親である。彼は身分証のコピーを見て、警察官が所属している組織の責任者にその場で電話した。
「もう大丈夫です。彼らは二度とあなた達の前には現れません。恥ずかしいことですがフィリピンではクリスマスのこの時期になると、いるんですよ、こういう人達が。」
 それにしても、その時、もし彼らの前に全員が並んだら、誰かはそのまま連行され、1ミリオンペソの金を要求されていただろう。或いは死刑囚として・・・。もし私が指差されたら、今頃は日本にいなかったのかも。

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March 27, 2006

第105話 強姦犯は誰だ

 フィリピンでの生活もしばらくすると色々な出来事に慣れっこになり、次第に感動や驚きも薄れてくるが、この出来事は記憶から消えてしまうことはないだろう。
 12月中旬のクリスマスの真っ最中の頃だった。。突如会社の正門に国家警察の身分証を持った者が訪れた。
「この会社にいる日本人がこの女性を強姦した。彼女はまだ18歳である。」
傍らには“被害者”の女性も立っている。応対に出た総務課長Uはガードハウスの電話から日本語で私に連絡してきた。日本語ならこの警察官にも会話の中身は分からない。
「この中に犯人がいるはずだから、日本人をここに全員並ばせろ、と言っていますが。」
フィリピンでは未成年者への強姦は死刑になると聞いていた。もし本当ならとんでもないことになる。まさか、同僚の誰かが・・・
「まず、本当に警察官かどうか証明書を見て欲しい。そしてコピーを取るからと言って、借りてガードに持ってこさせてくれ。」
身分証明書は何人かで見たが、どうやら本物らしい。U課長はといえば彼らを構内に入れないよう頑張っている。さて、どう対応したらいいのか、緊急に事業所責任者と総務部長を交えて協議した。
「まずは、強姦したというその日本人の名前を聞いてみてくれ。」
U課長は警察官に問いただした。
「スズキという名前だ、と言ってます。」
「ここには駐在員でも出張者でもスズキという者はいない。犯人はここにはいない、と言って帰ってもらおう。」
U課長はそのように説明した。ところが、警察官は突如
「スズキというのは間違いでイトウだ。」と。そして、
日本人全員を我々の前に並ばせろ、の一点張りである。さて・・・

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March 23, 2006

第104話 フィリピン人の記憶力

 フィリピンの人達の記憶力は相当なものがある。我々日本人(特に中年にもなると)は画像情報と文字情報がうまく繋がらず、知っている人とバッタリであっても、咄嗟に名前が出てこないことが多い。
 ある日、セントエレナというゴルフ場でプレーした後、未だ日が高く、このままホテルに帰るには時間も早かったので、道中時間つぶしにタガイタイに立ち寄った。一角には何と言う建物だったか失念したが(確かマルコス家に由来した建物?)、大勢の観光客を集めていた建物があった。さして目的もなく来たわけだから、別段の印象も感じられないまま、建物を後にして、緩い下り坂を歩いていたそのとき、後ろで声がした。
「○○さん!○○さん!」
「○○さん!○○さん!」
○○さん、とは私のファーストネームであるが、日本ではかなりありふれた名前である。私にはマニラに女性の知人はいない。ほー、同じ名前の日本人がここにいるのか。
「○○さん!」
その女性の声は次第に近づいてくる。そしてついに私の肩を叩いた。
 ビックリして振り向いた。そこでは屈託のない笑顔の若い女性がいるのだが、私には思い出せない。
「私よ、○○。」
それでもまだ思い出せない私。茶髪のロングヘアの彼女は
「えっ、昨日のことも覚えてないの?」
そこまで言われてやっと思い出した。昨夜行った何とかというカラオケの娘だ。いやー、女性は昼と夜では大違いだ。それにしても彼女たちの記憶力といったらどういうことだ。顔だけでなく、名前までよく覚えているものだ。しかもこの人ごみの中でよう見つけてくれた!
一緒にいたU氏は
「へー、モテるじゃん。」とイヤミを一言。

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March 21, 2006

第103話 お忍びのレストラン

 セブは狭い。ここはと思うところに行けば誰かに出会う。それもここなら誰もいないだろう、と思っていた処で知っている日本人と出会えば、不埒な目的があれば余計にドキッとするものだ。でも、やっていることが同じなら、同じ穴のムジナ。
 スイスシャレー。トップスに上がる道の途中から左に入り、山腹を巻く林道を10分ほど(勿論徒歩ではなく)。トップスより200メートルくらい低そうだが、それでも標高500メートルはあろうか。夜は涼しい。
 ここの売りは一応ステーキということになっている。ローカルビーフを出していたヒドイ時期もあったが、マネージャがスイス人に代わった頃から、肉はかなりまともになった。しかし、ステーキが美味しいと思って来ている人は果たしていただろうか。
 ここのウリはなんと言ってもワイングラスを傾けながらテラスから眺めるセブの夜景である。百万ドルとは言わないまでも、1万ぺソ位なら。そんなレストランだから、値段は安くなく、一人あたり1500ペソは超える。となると、客に日本人が多いのも道理。しかもお忍びの方々。知っている人がいても迂闊に挨拶などしては無粋というもの。お互いに目が合わないように離れたテーブルに席をとる。
 このレストランで困ったこと。トイレの金カクシ。ヨーロッパ人用なのか、短足の向きには届かない、、、。それと蚊。短パン・サンダルだとヒドイ目に遭う。

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March 18, 2006

第102話 失業率8.1%

 最近の数値によれば、フィリピンにおける失業率は昨年10月に比べ今年1月は7.4%から8.1%へとかなり数字的には悪くなっているようだ。日本では0.1%ほど上がったり下がったりするだけでもニュースに取り沙汰されるくらいだから、これは相当の悪化とも言えるだろう。
 尤も、仕事をやめた理由のトップは“疲れた”ということだそうだから、当のフィリピンの人達の受け止め方はもっと楽観的なものだろう。しかし、フィリピンの雇用状況は今後も不安定要因が解消されるようには見えてこない。
 フィリピンはどうしても労働集約型の仕事が中心にならざるを得ない。エレクトロニクスを中心としたこれらの産業は世界的な好不況の影響を受け易く、仕事量の増減の波が激しい。そこで、製造業では正規社員を採用せずに必要なときには派遣社員を使うようになる(この辺りは日本も同じ)。
 フィリピンでは原則的には試用期間以外では派遣等正社員以外での採用は認められていないが、ある例外的事項を活用してこのような雇用をなさしめている。例外とは、季節的な商品の生産に限っては派遣社員を使って良い、ということだ。“季節的”とは果物の収穫など明らかな時期が決まっている、ことが前提だ、という意見が多い一方、常に生産量が変動する商品も該当する、というやや我田引水的な解釈で各社は派遣社員を起用している、というのが実情だ。
 これらのグレーゾーンでの雇用は一切認めない、となれば、雪崩を打って外資は逃げ出すかもしれないから当局の強硬な動きもないようだ。そのような状況で“疲れた“と言って仕事をやめてしまう、というのはやはり楽観的過ぎる。

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March 16, 2006

第101話 投票日のヘンなルール

 投票日が近づくと、D議員に限らず色々な人達がやってくるものだが、フィリピンでは選挙となると、不正、買収、殺人など全く以ってネガティブな側面しか見えてこない。(そこにもって開票の遅さ、いい加減さも付け加えるべきか)
 勿論、我々には投票権もないし、清廉な政治家を求めるなど、この国では八百屋で魚を求めるようなものだからあまり興味も湧かない。ところが、生活には若干の影響を及ぼしていた。
 投票日は、レストランでアルコール類を販売してはいけないのだ。まあ想像もつくが、酔って殺人事件に及ぶことを防止する為だそうだ。候補者がらみの殺人ならば、何も投票日に限らず起きているのだが。投票日は大体において日曜日となっている。さて、我々はというと、日曜は午前中ゴルフ、そのあとは近くのレストランでビールを飲んで昼食、というのが定番である。そして、その定番のうちビールはかなり重要な要素を占めているのだ。日本人経営のレストランでは、奥の方でこっそり飲ませてくれるところもあったから、結果的には我々にはあまり影響はなかった訳だが。
 それにしても変わった法律だ。今でもそうなのかな。

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March 14, 2006

第100話 こんな政治家も

 日本では、選挙活動については様々な法的な制約があるし、夫々の違反に対しては連座制の適用など、なかなか厳しいものがある。フィリピンは買収から殺人まで何でもありの国とはいえ、選挙活動も日本人の感性から言えば常軌を逸している。
 先ごろのとある調査で望ましい次期大統領として名前の挙がっている上院議員のD氏が上院議員の選挙の前に会社にやってきたことがある。加工区内でも決して少なくない社員数があったので大票田であることを知っての来訪であろう。直前ではあるがアポイントメントをとり、大勢の取り巻きを伴ってやってきた。
 事業所責任者との面談もソコソコに、突如彼は「スピーチをしたいので、全社員を集めて欲しい。」と言い出した。それも今すぐに、である。キッチリと生産計画が組まれている工場ではたとえ5分でもラインを止めることなどできやしない。モノによっては仕掛かりはお釈迦となってしまう。そんなことはお構いナシの突然の要求だ。
 外資企業の懸命な操業によってこの国がやっと維持されている現状を認識していないのだろうか。政治家が現実をどれだけ正しく認識しているのだろうか、という側面においては本当にお寒い限りだ。因みに氏の要求は丁重にお断りしたところ、無愛想に帰って行った。

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March 12, 2006

第99話 この国はどこへ

 フィリピンという国は一体どこへ向かうのか。東南アジア各国の中でもどんどん置いてきぼりにされる国。要因はいくつかある。
 国の予算そのものが小さい中で、社会インフラに有効にそのカネが使われているとは言いが難い。舗装したばかりの道路が半年後には穴だらけになるのは、予算額の中から関与する有力者が吸い取ってしまう為に材料を間引かざるを得ないからだそうだ。予算は100万円でも実際には10万円で道路を作っていると思えば、欠陥道路になるのも頷ける。
 直近のデータによると、この国の主な外貨獲得手段である電子部品の輸出額が減少してきている。はっきりとはわからないが、外資企業の生産縮小傾向があるのかもしれない。もしそうだとすれば、納得せざるを得ないいくつかの要因はある。人件費の上昇、経済的恩恵の薄さななどは目に見える要因だが、もうひとつ目に見えない面がある。信頼して任せられる管理能力を持った幹部社員たる人材が少ないという点だ。これはフィリピンの文化そのものに根ざしている側面とも言え、簡単に解消されることではない。
 そんな中で、ちょっと興味を引いた数値は農産物、とりわけココナッツオイルの輸出額が昨年1月の2千万ドルから今年の1月は8千万ドルへと4倍に伸びていることである。輸出総額に占める割合も0.6%→2.5%に伸ばしている。特徴ある農産物を有効に活用してそれらの派生商品を活性化させることは、閃き豊富なこの国の人達にはうってつけの策ではないか。

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March 10, 2006

第98話 女子社員のチョロまかし(2)

 どうもJは怪しい。私はJではなく、別の総務の女性にPALのオフィスに電話してもう一度、駐在員の人数分の申し込み用紙を貰ってきてくれと頼んだ。そして、何日くらいでカードを受け取れるのかを聞いてくれ、と。彼女は数日のうちに発行できる、と確認した。ほれ見ろ。本当はとっくに発行されていたんじゃないのか? その翌日である。Jが私のところに人数分のカードを持ってきた。曰く
「今日このカードが届きました。」
ンナ訳ないでしょ。ここは推測だが、JとPALの担当者はツーカーだ。「あんた、別ルートから申請書が出されているようだし、バレているんじゃないの?」という情報を聞き及び、とうの昔に発行されているカードを慌てて差し出してきた、ということであろう。
 どうりでJは毎月のように私用でマニラを往復していた。駐在員のマイレージをちゃっかり流用していたということだろう。彼女の給料で毎月飛行機でマニラに旅行するというのはあり得ない。このことを総務部長にも尋ねてみた。
「あれっ、知らなかったんですか?」
ときた。しかも行くときはいつも彼女のボーイフレンドも一緒だったらしいから、我々は相手の男性の飛行機代も援助していたという訳だ。

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March 09, 2006

第98話 女子社員のチョロまかし

 まあ、会社のカネに手をつけている訳ではないので可愛いものだが、このくらいのことは彼らは当たり前のようにやる、ということだろう。
 フィリピン航空もマイレージサービスを行っていて、使いこなしている人も多いことだろう。丁度私が赴任する前からPALもこのサービスを始めていた。総務部に所属するJは私のマイレージカードの申し込みをするから、と言って申込書を持ってきた。サインをして私はその申込書をJに戻した。物忘れを得意とする私の頭からは以後このことは消え去ってしまった。
 1年近く経って、日本に出張するにあたり、まだカードが届いてないことを思い出し、Jに尋ねた。
「おいおい、もう1年も経ったのに、カードは未だ来ないのか?」
「申請したけど、まだ届きません。ここはフィリピンですよ。」
「ふうーん・・・」
確かにその頃申請した運転免許証もまだ来ないし、そんなものか。じゃあ、他の日本人スタッフはどうなっているんだろう。自分より前にアプライしている者だっている訳だし。と思い、数人に聞いてみると、誰もカードを受け取っていない。そんなに時間がかかるのはおかしいぞ・・・

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March 07, 2006

第97話 セレブな人達(2)

 お金持ちの人をもう一人。フィリピンで弁護士と言えば、悪い奴という見方もされている一方、非常にスマートで紳士的な方もいた。D氏は父親がレバノン人で風貌もやや欧米系に近くガッシリした体格であるが、物腰は非常に穏やかである。かつて上院議員にも立候補したが、こちらの方は思いを果たすことはなかった。
 彼の邸宅は高台というよりも山の上にある。マリアルイサから入り、ひと山超え、再び登り返し相当登ったところにある。敷地は5千平方メートルほどで母屋と東屋風の建物があり、敷地の東寄りには展望台のようなテラスが配置されていた。目の前には遮るものはなく、トップスに引けをとらない眺望が欲しいままである。
ディナーでは前菜は美しい夜景を眺めながら戴き、メインディッシュは母屋に移動すると言うのが彼のもてなしの流儀である。
彼のご子息もまた見るからに上品である。彼もまた人材派遣会社の社長であり、副業で「東京ボウル」という日本食レストランもやっていたことがあるが、「味がどうやっても日本人の好みの味にならず、すぐにやめた」そうだ。
 このような邸宅は羨ましいと思う一方、大きなソファーに座っていてもかえって落ち着けないものだ。やはり自分にはウサギ小屋が合っているようである。

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March 04, 2006

第97話 セレブな人達

 フィリピンで金持ちといえば高級ビレッジに住む人達が想像されるが、桁外れな金持ちはまた違ったロケーションに居を構えている人が多いそうだ。
 ある船会社のオーナーの誕生日パーティに招待された。邸宅はノースタウンというビレッジのさらに上にあり、入り口は車両の往来の多い道路沿いに面している。ここはしょっちゅう通っていたところであるが、外からは中が窺い知れないほど高いコンクリートの薄汚れた壁が立ちはだかり、気にもしていなかったところだ。さて、煤けた鉄の扉の中に入ってびっくり。豪邸の構えもさることながら、敷地が非常に広く、手入れの行き届いた芝で埋め尽くされ、池が配置されている。屋外のパーティ会場ではすでに200~300人位の参加者がすでに談笑している。立て続けに様々な人達を紹介されたりもしたが、今となってはどんな人達だったか、覚えていない。
 聞いたら、メイドは20人、ガーデナーも7人居るそうな。高台にあるため、マクタン方面の夜景も望むことができる。薄汚れた高い塀に囲まれているのは一種のカモフラージュなのだろうか。

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March 03, 2006

第96話 手料理の評判(2)

 牛丼はなかなか好評だったが、もうひとつ大好評だったのはハヤシライスである。こちらの方は牛肉はローカルビーフでもどうにかなる。まあ、はっきり言って素材のチョイスよりはルーで決まってしまうからである。
 舞台は会社の同僚で購買課長A氏宅である。参加者は管理部門の他のマネージャたち。A氏宅はゴルフ場(アルタビスタ)のすぐ下にあって、急斜面ながら閑静な住宅街である。因みにこの辺りは良質の地下水に恵まれていて、蛇口の水もそのまま飲むことが出来る。
 さてハヤシである。酸味の利いたこの風味はフィリピン人の味覚に相当あっていると見えて、環境課長のL氏は鍋の中に顔を突っ込んでは、もう堪らないと言った顔つきである。煮込んでる時間はやることがないので、テラスでビール、となる。こんな時に枝豆はやはり便利だ。フィリピンでは馴染みのない豆ではあるが、彼らにとってもビールのつまみに丁度いいようだ。
 頃合を見て、A氏の奥さんがハヤシの鍋とライスを持ってきた。10人前のハヤシはアッという間になくなったのは言うまでもない。
 ところで日本人の国民食とも言えるカレーであるが、これは評価が分かれた。フィリピンでもカレー風味の料理はあるのだが、日本のカレーは香りがもっと強い。ゴム臭いと感じる人が結構いたようだ。

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March 01, 2006

第96話 手料理の評判

 私にとって料理はどちらかというと趣味の部類に入る。フィリピンでの生活も慣れてくると、自分で食材を買い求めて作ってみたりもするようになる。そうすると、今度は自分の料理は現地のフィリピン人に美味しいと言ってもらえるだろうか、と試したくなってくるものだ。日本人が好む食べ物の中で天麩羅は彼らの大好物であることは周知であるので、普段彼らが口にしなさそうなメニュウであちらこちらで試してみた。
 彼らの家庭を訪問し、キッチンに案内してもらい、必要な鍋や釜などを用意してもらう。
キッチン周りは砂糖に引き寄せられるのか、小さな蟻が行列しているのは大体どこも同じだ。さてこの日は人材派遣会社のA社長の奥さんの誕生パーティに招待され、それならと、一品作らせてくれと頼み込んだ。
私が作ることにしたのは牛丼の具の部分である。ローカルビーフは硬いのと脂が少ないので不向きなので、少々値が張るがヨーロッパデリカで米国産の牛肉を塊で買ってきた。早速ナイフで薄切りに取り掛かる。家人達は不思議そうに私を見ている。そう、フィリピンではそれなりの生活水準の人達はメイドの仕事である台所仕事など絶対にしないのだ。私が俎板に向かい器用にナイフを操っている姿は信じられない光景なのかもしれない。そんな視線も気になるのでスライス係は途中からこの家のメイドにバトンタッチ。
フィリピン人用に甘めにするために味醂はかなり投入した。次第に匂いが立ち込めてくるせいか人が集まってくる。もうひとつの鍋では枝豆も塩茹でにしておいたので、後は少々時間をかけて煮込むだけ、となったので、右手のオタマはいつしかサンミゲルに持ち替え談笑の輪の中に入っていった。
出来上がった一品はあっという間に参加者の胃袋に納まった。食べている人達の表情からは、手前味噌ではあるが、中々の評価を戴けたようだ。お代わりをとっている人もいる。フィリピン人はライスに何かをかけて混ぜて食べるのが好きだ。牛丼はそんなスタイルにも合っているようだ。

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