« 第115話 アドレナリン (5) | Main | 第115話 アドレナリン (7) »

May 10, 2006

第115話 アドレナリン (6)

 鏡割りの為の樽は日本から既に取り寄せてあった。しかし早くから酒を樽に入れてしまうと香りがきつくなってしまい、高い気温では発酵も進んでしまう。Hさんのところは秋田の地酒を取り寄せていた。段取りでは2日前にビンの酒を樽に移すことになっていて、予定通りこれは実行された。
 ところが暫くして、酒が樽の胴からから漏れ始めて止まらないというのだ。もう時間がない。こうなったらイベントの直前になってから樽に酒を入れるしかない。それにしてもステージが酒浸しになるのも具合が悪い。メンバーの一人が木枠の切れっ端を使って受け皿を作ったらどうか、と提案してきた。ステージの床の色と同じにペイントしてしまえば目立たないと言うが、間に合うのか?メンテナンスのM課長に出来るか?と聞いてみたら、問題ない、という返事が返ってきた。この課長には以前苦い思いでもあったが、とにかくやってみるしかない。
 こういうことならフィリピン人はやりだしたら早いのだ。頼んで数時間後には木枠とブリキの受け皿が出来上がっていた。そうこうしているうちにHさんから
「いやー、良かったです。モレはどうにか収まったようです。」
との連絡があった。どうやら、ホースで樽に水をかけ続けていたら木が膨れたらしく、スキマがピタッと埋まったらしい、とのことだった。咄嗟に奈良の東大寺正倉院の校倉造りを思い出した。このアイデアも使っていたフィリピン人のアイデアだと彼は言っていた。時はもう既にイベント前日である。

|

« 第115話 アドレナリン (5) | Main | 第115話 アドレナリン (7) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91498/10001507

Listed below are links to weblogs that reference 第115話 アドレナリン (6):

« 第115話 アドレナリン (5) | Main | 第115話 アドレナリン (7) »