« 第121話 大統領がやってきた | Main | 第121話 大統領がやってきた(3) »

June 01, 2006

第121話 大統領がやってきた(2)

 大統領の来訪となると、まず大変なのは警備関係だ。SP達との打合せは綿密を極めた。訪問時間は大体何時という程度で、正確な時間は知らされない。まあ、どうせフィリピンタイムだから時間ピッタリに来るとも思っていなかったが。そのあたりはマクタン第2ブリッジの開通式でも経験済みである。
 見慣れないものを見た。SPの中には左の胸に赤いワッペンのようなものを貼り付けているものがいる。総務部長に尋ねた。
「あの赤いシールは何の意味だい?」
「あー、あれは万が一の場合に、撃つなら俺を撃て、という目印なんですよ。」
大統領のSPとは本当に命を張っている。大統領、しっかりしてくれ!
 食事や飲み物、手土産、アシュレットなど段取りも全て整い、近くの学校からは大勢の鼓笛隊までやってくる手はずになっている。後は当日を待つだけである。この大統領に対する見方はその頃から既に賛否様々であったが、現役の大統領がやってくる、というのは社員にとっても鼻が高い出来事らしく、誰もが楽しみにしているようだった。
 さて、当日である。いつ現れるか分からない大統領ではあるが、日曜日にもかかわらず、我々は朝から待機をしていた。休日とはいえ、ほぼ社員全員が会社に来ている。誰もが大統領の姿を間近で見たいのだ。当分の間、彼らの自慢話になることは間違いないだろう。鼓笛隊の練習は朝から何度もやっていたが、さすがに日が高くなるにつれてダレ気味である。このときの先頭でバトンを持っていた女の子(多分15歳くらい)はケタ外れに可愛い娘で、同僚駐在員たちも盛んに不埒な視線を送っていた。

|

« 第121話 大統領がやってきた | Main | 第121話 大統領がやってきた(3) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91498/10345845

Listed below are links to weblogs that reference 第121話 大統領がやってきた(2):

« 第121話 大統領がやってきた | Main | 第121話 大統領がやってきた(3) »