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July 21, 2006

第133話 スモーキーマウンテン

 アルタビスタというゴルフ場の最終ホールのティーグランドからはセブ市南部が良く見渡せる。ここからは、じっと目を凝らすと鼠色の埋め立てのような平地が海岸沿いに広がっている。そして更によく見ると、ここでは小さな煙が立ち込めているときがある。何だろう。それまでは知らなかったが、やがてこのエリアを訪れる機会がやってきた。
 会社では石油系溶剤を使う。そうなれば当然廃溶剤の後始末が問題となる。フィリピンでは意外なほど環境問題には法規制がかけられている。廃液は勿論、排気、廃棄物に至るまで基準値はかなり厳しい。勿論カネでやり取りしているローカル企業もあろうが、外資は遵守せざるを得ない。
 さて廃溶剤である。規則はうるさい割には、フィリピンでは処理能力が乏しい。そこで只単に貯蔵するだけの処置となる。ただし、公認の貯蔵施設である必要がある。アルタビスタ最終ホールから見える、その場所の向こうにこの貯蔵施設はあった。ドイツとの合弁企業だそうだ。
 初めてこのエリアに入り込んだ。ドライバーは絶対に窓を開けないようにと、真剣に言っている。それもそうだ。ここはセブで2箇所あるといわれているスモーキーマウンテンのひとつだそうだ。塵の山が波打っている。そこを通らないと目的地に行けない。多くの子供たちが寄ってくる。狭い道でゆっくりとしか走れないから、ぺたぺたと窓をたたいてくる。住居はといえば、多くは塵の山を背にした半横穴式住居で、初めて見る光景だ。このような光景はテレビのドキュメンタリーでは見ていたが、実際に来て見ると形容のしがたい印象だけが残る。それでも、バスケットボールの板だけはここにもあり、我々が感ずるほどの悲壮感は彼らにはないのかも、とも思う。
 ここを通ったのはこのときを含め2回だけである。また行きたいなどとは思わないが、今もあの当時と変わらないのだろうか。

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