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August 31, 2006

第145話 日本語手当(2)

 情報システム部のF課長は何かと器用で日本語もかなり理解できる。学校に行って習ったわけでもなく、独学で学び、「山」とか「川」、「会社」とか「仕事」とか良く見かける漢字くらいは識別できるまで身につけていた。このあたりはフィリピン人の学習能力の高さで、日本人は逆立ちしても敵わない。彼は日本人に話しかけるときは一生懸命日本語で話しかけた。
 さて、彼の上司のY部長。彼も簡単な日本語の単語、特に仕事でよく使われる言葉は聞き分けられるレベルであり、専門用語は日本語でどう表現するか知っている。聞いている方も専門用語が日本語できれば、何となく言わんとしている事は理解できるが、残念なことに会話としては彼は日本語を話せるレベルにはない。彼が日本人に話しかけるときは、キーワードは日本語になるとしても、文全体としては英語でしか話せない。
 この二人は日本語手当てはそれまで同じレベルにランキングされていたが、どう客観的に見ても部下のJ課長のほうが日本語能力は歴然として高い。たどたどしいながらも文全体としては、彼の場合は日本語になっている。この年はJ課長に1ランク上の手当てになるチャンスを与えようと、面接試験を受けさせることになったのだった。
 さて、プライド高いフィリピン人、部下の挑戦を激励するどころか、Y部長は黙っていなかった。

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August 30, 2006

第145話 日本語手当

 海外駐在員とはいえ、誰もが英語に堪能なわけではない。特にフィリピンに来る駐在員はカタコトの英語すらも備えていないことが多い。Pパブの延長線か、日本語で押し切ろうとする人が案外多いのがこの国に来る日本人のティピカルなパターンである。このような状況で仕事をしても出来る領域は限られる。
 そうなると必要となるのは日本語が達者な現地人である。事実彼らの給与はかなり高額である。それだけの給与を払ってでも必要なわけだ。しかし、彼らの高給の理由は日本語を理解できるということだけではないにせよ、現地人同士の足の引っ張り合いの会話は随分と聞かされた。ダイレクターの略称のDIはダイレクト・インタープリターだとか、現地人同士では陰口を叩いて瑠韻を下げていたりしているのだ。これも一種のクラブメンタリティである。日本語が出来るローカル社員と、日本語は出来ないが仕事は優秀な社員との間では、心理的に案外大きな溝があるのだ。
 会社では日本語の理解度によって、ランク毎に手当を支払っていた。MEPZの会社ではよくあることである。試験は毎年1回のチャンスである。その年も例年通り、上司が推薦するという形でその時期がやってきた。私が管轄する部署でもマネージャを推薦するなら、私が推薦、ということになる。が、この年はひと悶着あった。

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August 27, 2006

第144話 イマイチなマンゴー

 最近、日本のスーパーでもフィリピン産のマンゴーを見かけることが多くなった。ゼリーやらプリンやら加工されたものも多く、ちょっとしたブームに見える。ところがフルーツとしてのマンゴーはどうも味覚の点で今ひとつだ。甘みといい酸味といい、セブ辺りのものと比べると、似て非なるものになってしまう。これはバナナやパイナップルでもそうなのだが。

日本の農林水産省植物防疫所は、フィリピン産マンゴーについて、生産地で生果実の中心温度を46.0度とする蒸熱処理を施したものに限り輸入を認めている。
だそうである。これが原因だからイマイチなのか、輸送中の品質保持のためのものなのか、どうにも物足りない。
 シャツやパンツに包んでスーツケースに忍ばせ、いつも6個位まではバレずに日本に持ち帰っていたが(バレれば没収)、それらのマンゴーと輸入品とでは、味覚の点で比べ物にならない。

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August 24, 2006

第143話 原油流出事故(2)

 ギマラス島近海のタンカー沈没の件に関してはセブの知人A氏からもメールが来た。以下一部抜粋。

Yes, it is true JICA is now helping us. They are now in Guimaras Island. I am afraid the oil spill will reach northern towns of Cebu as some expert are saying so. In the news this morning, Petron is denying responsibility of the incident. According to them it is the responsibility to the shipping company. With prayer, I hope this will be solved soon.

 パナイ島イロイロは案外セブ島に近い。潮の流れがどうなっているのかよく分からないが、もしそのような潮の流れなら、地図から察すると真っ先に危ないのはバンタヤン島だ。あの島はセブ周辺の島の中で、私が最も好んでいる島である。ホワイトサンドで囲まれたあの島がバンカーオイルで真っ黒けになる姿は想像したくない。そうならないことを祈るだけだ。
 それにしても早速責任をタライ回しにしようとする言動には最早驚かされることはない。

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August 21, 2006

第143話 原油流出事故

 ちょうど山登りに行っていた最中の出来事で、知らなかったのだが、先週パナイ島の近くでタンカー沈没による原油の流出事故があったらしい。
 マニラの日系人会長のY氏からメールがあった。彼は湾岸警備隊の将校でもあるため、その為にここ数日動き回っていたそうだ。News1

 どうも最近の日本のニュースの報道は国民全体が平和ボケしているせいもあって、尻軽な内容のものが多い。米国のカー容疑者の移送の動向を報道するのにに5分もかけるヒマがあるなら、もっと大事な知らせるべきことがあるだろう。
 南シナ海はわが国の生命線だ。日本が輸入する原油の大半はマラッカ海峡を経て、フィリピン近海を通る。この地域を通れなければ、石油製品の値段はさらに上がるだろう。問題が起きてから吠え面かくのが日本人の習性ではあるが、だからこそ、今知らせるべきは何か、きっちり知らせて欲しいものだ。

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August 20, 2006

第142話 難民キャンプ

 久しぶりに山登りに出かけ、更新も滞ってしまった。不安定な天気の中でも時折強烈な日差しがあったり、真っ赤に日焼けしてしまい、ヒリヒリする。それにしても今日の蒸し暑さは異常だ。(昨日も、かも知れないが、山中にいたので分からない)
 そう思うと、思い出すのはやはりフィリピン。常夏の島だから、いつ行ったって暑いのは当り前、としても、東京の8月に比べれば遥かにマシだ。まず気温。東京では35℃以上など日常茶飯事だが、セブでは暑くて33℃くらい。朝は毎朝24~25℃だ。今朝の東京の最低気温は27℃。しかも湿度が89%と言っていたから、これでは体温調節などうまくいくはずがない。
 そうなると金余りの日本人はせっせとレジャーにいそしむ。だけどこのレジャーが本当にレジャーなの?今回登った山の麓のオートキャンプ場。通りがかっただけだが、ちょっと有名なところらしく、下草がきれいに刈られた白樺林のサイトでは車の台数はゆうに数百台。テントとテントの隙間は3~4m。これでは人口密度は東京と大して変わらない。夕方にでもなれば、バーベキューの煙とカレーの臭いでむせ返っているはずだ。そして夜中には隣のテントのお父さんの鼾もうるさく聞こえることだろう。トイレやシャワーの順番待ち1時間などというのも当り前。これではレジャーどころかまるで難民キャンプだ。日本人にはワイルドなレジャーは似合わない。管理された状態(金さえ出せば得られる)でないと何も出来ないようだ。

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August 14, 2006

第141話 停電

 それにしても一昨日は久しぶりの停電だった。雨の降り方も半端ではなかったが、少なくとも停電に出会った記憶は日本ではここ数年ない。山手線も止まってしまった。
 以前、東電の方にこんな話を聞いたことがある。飲食店が集まっている地域で停電が発生したときには、菓子折りを持って1軒ずつ謝りに行く、ということだそうだ。今でもそのような対処をしているのかどうかは分からないが、確かに電気が止まってしまえば、飲食店の経済的被害は少なくないだろうし、日本では何があっても電気は止まらないはずのものなのだ。
 停電など日常茶飯事のフィリピンではどうか。経済活動を営んでいるところの多くは発電機を持っているから、一応のバックアップはあるといえるが、停電発生からすぐに切り替えが出来るわけではないので、設備や工程によっては仕掛品にオシャカが出てしまうこともある。
 あまりに頻繁に停電が発生するので、状況説明に来い、といってMEPZ内の電力供給会社のマネージャを呼び出したことがある。やってきた彼はジーンズにTシャツ、サングラスといったいでたちで、謝るような気持ちはサラサラなさそうだ。しかも言うことが奮っている。
「原因の多くは設備の老朽化であるが、老朽化自体は自分たちの責任ではない。」
「時々点検して、老朽化で不具合が発生すると思われるパーツは、事前に取り替えるべきだ。」
「そんな無駄なことは我々はしない。パーツは不具合が発生してから取り替える。」
 予防管理に対する日本人とフィリピン人の認識の違いは何処まで行っても埋まることはなさそうだ。

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August 12, 2006

第140話 1ペソの価値(2)

 今朝のNHKニュースを見ていたら、1ヶ月ほど前に話題に取り上げたフィリピンからの1ペソ硬貨輸出の映像が流されていた。コンテナの中に無造作に放り込まれている麻袋のような袋。この映像の中で今後はニッケルと銅の含有量を減らして貨幣自体の価値を下げるという当局の政策が語られていた。それでもBRICSの台頭で、あらゆる地下資源は高騰を続けるとなれば、このような違法な動きは今後も試されることだろう。
 確かに1ペソ(2円強)はやけに大きくて重たい。それに比べて日本の100円や50円ははるかに小さくて軽い。1ペソも暫く前までは10円近くの価値があったわけだが、現在価値を考慮することなく、貨幣を市場に供給し続けていたことは、やはり政府(中央銀行?)のバハラナだろう。
 今度フィリピンに行ったときには厄介者の1ペソを山ほど(5千ペソまでいいのかな?)持ち帰りたいが、その頃まで旧硬貨が流通しているのかどうか。

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August 10, 2006

第139話 国民性

 フィリピン人のホスピタリティは誰もが感じるところである。“パキキサマ”とは友好性とでも言うのだろうか。接した人は誰もが温かみを感じる。が、ビジネスの場面では全く逆の印象を受けることも少なくない。
 日本社会で見られる“慇懃無礼”というような事はないのだが、彼らのホスピタリティはやはり表面的なものであり、本当に困ったときでも助けてくれると思ったら大間違いだ。ザックリ言って金にならない事に対しての手助けはほとん期待しない方が良いだろう。このあたりはFTA絡みでの話題の外国人ヘルパーにおいても理解しておくべきことだろう。それでも表面的とは言え、彼らの社交性は我々日本人には欠けているアセットだ。
 さらにフィリピン人を支配しているメンタリティには“ヒヤ”と言われる恥の文化がある。これは日本人は心してかかる必要がある。要はメンツである。日本人にもこの文化は色濃いが、我々日本人はメンツを潰されてもさらに“耐える”文化がある。フィリピン人には耐えるという感性はかなり乏しい。
 現地で日本人が行きずりでない事件に巻き込まれる場合、この辺りが引き金になっていることが多いようだ。欧米に出かけるときには現地での習慣やマナーについて十分に下調べをしていくのに、東南アジアには下駄履きで出かけてしまう日本人は結構多い。

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August 08, 2006

第138話 深酒

 フィリピンとはまことに特異な国だと思う。近隣の国々のいくつかはアジアの国が何たらカンたら言っているようだが、アジアとは東アジアの僅か2~3カ国のことを言わない。と思うからこそ、フィリピンは見捨ててはいけない国なのだと思うのだ。しかし、残念ながらフィリピンにシンパシーを感じる人達にはちょっと違う価値観の人達も少なくない。
 先日taccyさんと一杯お付き合いさせていただいた。現地在住も長く、この国の人達や関わる日本人に対しても明快な意見を持っておられる。また、今後のフィリピンとの関わりのご自身の目標も聞いて、何をしたいかという行動の原点も聞かせていただき、参考になった。
 あらゆる思いでフィリピンに渡っている人達が多いと思うが、この国について語るには、旅行記は別にして、何某かの業(なりわい)を経験していないと、国全体のことをうまく伝えることはできないだろう。業とは必ずしも営利活動でなくてもいい。ある目的のために彼らとともに苦楽をともにした。そのような経験抜きにフィリピン人全体を語るのはちょっと無理がある。 
 多くの人がこの国との関わりで今も苦労が絶えないことと思うが、そういった方々の苦労の積み重ねが後世の両国間の大きな財産になるのではないか。ここは日本にとってまさしくアジアだ。
 先日、少々深酒になってしまったのはご愛嬌である。

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August 05, 2006

第137話 究極の選択?

 ある銀行の日本人の副社長の方からこんな質問をされたことがある。その方は在比暦の長さは勿論のこと、大変見識の深い方だ。
「○○さん、金持ちで美人のフィリピン人の娘と、美人ではないが気立ての良い貧しいフィリピン人の娘、嫁にもらうとするなら、どちらを選びますか?」
ウーン、具体的な対象者がいないので返事に困っていたら、
「私なら貧しい娘の方を選びますね。」と言われた。
「キチンとコントロールしていれば、係累のサポートと言っても大した金額ではないし、とにかく働き者ですからね。金持ちの娘は、家事は一切やらないばかりか、自分の子供の面倒すら見ない。何もしないでブクブク太るばっかりですからね。」
 なるほど、と思ったのは会社に出入りしていたある銀行の女性マネージャの話を聞いたときだ。この女性は働いてはいるが、なかなかの資産家の娘と聞いていた。
「あなたは、料理を作ったり、掃除をしたり、洗濯をしたりすることはありますか?」
彼女は屈託のない笑顔で「Never!」と一言。さらにダメ押しは、
「Why do I have to do them?」
 こういう人が嫁さんなら、確かに長続きはしないだろう。やはり、件の副社長の見方は正しいようだ。

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August 01, 2006

第136話 マッサージ婆さん

 人間トシをとるとあっちこっちにガタが来る。日本に居ようがフィリピンに居ようが同じだ。私は何故か周期的に腰の痛みに見舞われる。山登りを長年やっていたため、腰に負担がかかっていたのか、原因はよく分からないが、年に2~3回は立ったり座ったりも苦痛になる日々が続く。
知り合いのフィリピン人が腕利きのマッサージ師を呼んでやるから、使ってみろという。金額を聞いたら驚くほど安い。試してみることにした。
 翌日、その婆さんはビレッジまでやって来た。どこからどうやってきたのか、とにかく身なりは薄汚れていて、家の中に入れるのも躊躇ってしまうような婆さんだ。メイドの小ずるいRの方がはるかにこざっぱりした身なりだ。何処から来たのか聞いても英語は通じないようだから、お互い会話もない。
 さて、マッサージ。この婆さん、ホントにマッサージ師なの?と思いながらも、まあダメでモトモトだ。腰だけだから15分程度で終わる。何を塗っているのか、黄色っぽいベタッとしたグリース状のものを手につけて擦り込んでいる。
 知り合いからは1週間くらいで治るはずだ、と聞かされていた。婆さんは翌日もその翌日もやってきては同じ作業を繰り返した。そして3日目。マナ、と言っていたから、どうやら今日で終わりだ、と言っているようだ。今のところさして症状に変化はない。なんだ、結局なんて事はなかった。
 と、思いきや翌朝、ベッドから起き上がってビックリ。腰は何ともなくなっている!いったいあの婆さん、何者だ?払った金は3日で300ペソ。知人の彼は1回50ペソと言っていたが、日本人プライスで100づつ渡していた。マッサージが効いたのか、あの訳の分からないオイルが効いたのか、よく分からない。

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