« December 2006 | Main | February 2007 »

January 28, 2007

第185話 セブ島北西部

 任期が終わり、ある土地を離れようという頃になると、まだ行ってないところはないか、見てないものはないか、そんな気持ちになってくるものだ。

 バランバンから北に向かうエリアだ。このあたりは密造銃の工場があるエリアで危険な地域と聞かされていたし、特に見るものもない、とも言われていた。しかし、帰国も近くなると怖いもの見たさもあって、ある日曜日に決行した。勿論同行者なし。

 バランバンからの舗装道路もやがてすぐにダートに変わる。海沿いの道は山のなかに変わり、道幅もか細くなる。密造銃の製造所はこんなところにあるのだろうか。ところどころ集落もあるが、集落では決まって進路が不明朗になる。行き止まりも多く、バックをする際も多くの視線を浴びる。ちょっと程度の良さそうな車が迷い込んでくるのだから注目も浴びる。それでもツブランを過ぎる辺りから道幅も広くなり迷うところもなくなる。それでも景色がちっとも変わらず、すれ違うクルマもほとんど無い。心細い限りだ。バランバンを出て3時間近く経ち、ようやく舗装道路になった。その後すぐにハグナヤの船着場に出た。見たことのある景色だ。やっと深呼吸できる気持ちになった。

 何を好き好んでこんなところを走ってきたのか。別段得るものがあったわけでもない。が、気になっていたエリアを見てきたという妙な満足感だけがあった。そんな状況で走り抜けたので、カメラは持っていたが、1枚も取れなかった。景色も平凡だし、目をひくビーチもない。それでも気づいたのは、セブ島東側ではあまり見られない水田が多く見られたことと、ヤシの木以外の木が多いこと、パンツもはかない子供を多く見たことくらいか。

 以上はもう5年以上前のことなので、様子も変わっていることだろう。

| | Comments (74) | TrackBack (0)

January 23, 2007

第184話 フィリピン流床磨き

 無くて七癖、あって四十八癖と言うから、人間の所業には自分を基点に見れば、他人の多くの癖が見えてくる。同じ日本人同士でもそうなのだから、民族が違えば尚更だ。

 日本人から見るとフィリピンの人達の動作は至ってのんびりとしている。歩いている時だってわざとゆっくり歩いているんじゃないかと思うくらい遅い。時間の感性が違うのだから当然というか、彼らから見れば日本人はいかにもせわしいに違いない。仕方ないのだ。

 と思いながらも、彼らの掃除の光景を見ていると、ここまで感性が違うものかと考え込んでしまう。床の拭き方だ。メイドが居るフィリピンでは電気掃除機は使わない。メイドに楽をさせる必要がない、というのが根底にある。これは洗濯機も同じことだ。

 彼女達は、雑巾を床に置くと、その上に足を乗せ、そのまま足を滑らせるように、器用に磨いてゆく。我々は昔、小学校の床磨きでは、両手を床の上の雑巾に乗せて、パソコンのマウスのような形になって屈んでサーッと拭いていた。どうしても足で床を拭く姿は真面目にやっているように映らないのだ。こっちの頭が堅いのか。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

January 14, 2007

第183話 バンタヤンのM

 バンタヤンのビーチはセブあたりのそれと違い、天然の白砂だ。セブからマニラに飛ぶ機内から見るとひときわ目をひく。せいぜいマクタンよりちょっと大きいくらいの島だけど、マクタンと違うのは、低いながらも起伏があって、地形に変化がある。

 ここには何回か行ったが、ふとしたことで、ある青年と知り合った。Mという青年は年齢は30前だが子供が一人いる。この青年、聞いたら父親は日本人だそうだ。苗字はSというどこにでもいるSであるが、しばらくはこの島で一緒に生活していたそうだ。ある日、突然姿を消した。彼は今でも理由はわからないと言っていた。日本人の我々には理由は想像できる。そんな彼も父親から日本語を教わっていたらしく、カタコト以上のレベルで日本語を話すことが出来る。だから彼はこの島では貴重な日本人相手のガイドだ。

 そういえば、ここでは日本人のボディービルダーが事業を起こすとか、そんな話も聞いていたが実現したという話はまだ聞いていない。

 この島にいると、何故だかやたら欧米人の姿が多い。旅行者もさることながら、住み着いてしまった欧米人(特に北欧が多いとか)を数多く見かけた。交通の便を考えると、旅行は良いとしても、住み着きたいとまで思わない私は未だ修行が足らないようだ。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

January 09, 2007

第182話 マネージャの浮気(3)

 さて、事実関係は大体把握できたが、どうするかだ。就業規則に照らしても解雇にあたるかどうか、このようなケースは想定されてないから、何とも言えない。第一彼には弁護士などの知り合いも多いから、強行するには相応のリスクがある。かといって、このままで知らんぷりでは、他の社員への示しもつかない。

 しばらく時間が経った頃のこと。対面の米系部品メーカーの社長が交替した。理由はよく分からない。この会社は、社長もローカル化されていてフィリピン人だった。まあ、米系はドラスティックだから成果が乏しければ経営者の首は簡単に飛ぶ。それにしても以前の社長はどこかに転職でもしたのかと思っていたら、何と、今はその会社のガードハウスにいるという。社長からいきなりガードマン?メンツだってあるだろう。そんなことがありえるのか。経理部長に聞いたら、特に珍しい話ではないという。しかし、次の仕事が見つかったら辞めていくだろう、だそうだ。

 なるほど、これでいくのが良さそうだ。給料は下げられない。要は自発的な退職を促す、ということになる。

 彼は意外とあっさり事実関係を認めた。処遇に対しても少し当惑した様子はあったものの、抵抗することなく受け入れた。翌日には自らガードハウスに移っていった。一つだけ要望があった。エアコンを付けてくれ、と。ということは暫くは居るぞ、ということだろう。

 

| | Comments (2) | TrackBack (0)

January 07, 2007

第182話 マネージャの浮気(2)

 Detectiveと呼ばれるいわゆる探偵と打合せを行ったのはそれから数日後だ。会社内で打合せる訳にもいかないので、空港近くのウォーターフロントで打合せた。彼は普段は空港内で警備に携わっていると言った。平日は会社を出てから帰宅するまで、休日は朝から自宅付近で待機し、外出中ずっと尾行を続けるそうだ。報告書は1日おきということになった。

 数日間は、特に動きらしいものはなかった。探偵からのレポートも異常が認められないというステレオタイプなものが続いた。ところが2週間くらい経ってから、尾行を気づかれている可能性がある、と探偵が言ってきた。Tの車追跡中に突如スピードを上げたり、急に交差点を曲がったりするようになったという。更には通勤に使う車を毎日替えるようになったそうだ。Tは4台の車を所有している。

 このプロジェクトが漏洩されている可能性が高くなってきた。部長クラスで2名がこの活動を知っている。まあ、問いただしても自分は漏らしていない、と言うことは目に見えているので問い詰めることはしなかった。そうするとむしろそのような情報も含めて情報が漏れる。やはりここはフィリピン。情報をリークすることで恩の売り買いが行われているのだろう。

 探偵も追跡の車を替えたりして、再び追跡を開始した。それから1週間くらいしてからだ。シューマートで二人が落ち合い、買い物をした後で、彼女の家に入ったというレポートが提出された。やや不鮮明ながらも写真もある。買い物の際の二人の結構きわどい会話も報告の中で再現されていた。客観的には噂は単なる噂の領域を超えていると判断するしかない。

| | Comments (7) | TrackBack (0)

January 05, 2007

第182話 マネージャの浮気

 チャンスがあれば(或いはバレなければ)浮気に走るのは男性としては否定しがたい性分であり、古今東西世の習いだ。100年以上前の政治家松方正義などは、孫の数はわからないと言うくらいに子孫を繁栄させていたそうだ。現代社会でそうならないのは余程自制心が強いか、幸か不幸かそのチャンスがない場合だ。フィリピンでは奥さんの立場が強いので、やろうにも出来ない環境にあるようだが、やる人はしっかりやっている。但し、余禄のカネがなければ出来ないのはどこも同じであるからして、会社でもあるポジションにいて、副収入(アンダーテーブル)がある者はそのチャンスがある。

 Tの場合は、副収入というより立場を利用したケースだったので、問題になった。当時複数の派遣会社を使っていた。派遣会社のマージンは最低賃金及び法廷福利の合計額に10%強上乗せしたものだ。マージン率としては日本の派遣会社のそれよりもはるかに低い。現地ではどこの派遣会社もマージン率は似たりよったり。 ある派遣会社ではMという女性が管理者として頻繁に出入りしていた。年のころなら30ちょっとで、見るからにスペイン系の風貌だ。

 彼女が来るようになってから暫くしてからである。派遣会社の管理をしているマネージャの立場のTとMがやはりというか噂になった。フィリピンでは誰かの勝手な想像がそのまままことしやかな噂になるのはよくある事。しかし、やがてどこそこで一緒にいるのを目撃したという者まで現れ、放っておく訳にはいかなくなった。派遣会社の社長も放っておくと自分の会社に不利に働くとみて、すぐに極秘に調査すると言った。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

« December 2006 | Main | February 2007 »