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August 31, 2007

第234話 自己受容性

 仕事でフィリピン人を使う場合、日本人を扱うのと同じように対処してしまう日本人は少なくない。中には以心伝心という日本人独自の価値観すら期待している人もいる。長く付き合っていれば段々と見えてはくるが、裏づけあるデータも必要ということで、少々費用もかかるが、マネージャ全員の内面調査を行った。自分でもお試しでやってみて、なかなか納得できる結果が出たので、全員にやってみようとなったのである。

 まず想定通りなのは、誰もが高給願望志向が突出していた。次に有能リーダー願望。どういうことかと言えば、力のあるボスの下に付き、有利な状況に身を置きたいという、フィリピン人独特のメンタリティがありそうだ。ここでは当然、恩の売り買いが行われる。組織親和性やコミュニケーション志向も比較的高く、突出を嫌う彼らの意識とも合致する。

 ネガティブな面では計画策定性が低い。彼らは命じれば計画を詳細に立てるが、実行する意識は元々は薄い。また、総じて規則強制性も低く、互いのイザコザを好まない彼ららしい。

 ほぼ全員に共通しているのは、自己容認性が高いことだ。常に自分は頑張っている、自分は悪くない、という感性だ。最近、日本人でもそんなタイプは増えてきているが、彼らの場合、自己評価は驚くほど楽観的だ。

 どおりで、人事考課や昇格の面接であれだけ強気に自己主張できるわけだ。

 

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August 25, 2007

第233話 暗黙の了解

 マクタンの加工区では当然外資系企業がその存在の中心になるが、全体として共通の利益の為に団結して行動するとか、そういう側面は見られない。様々な国から来ているのだから、仕方の無いことだ。

 そんな中で、日系企業は互いに情報を共有したり、互いの争いごとを避けたりする作用が働く。日本国内における企業行動そのものとも言える。では、争いごとのタネとは何か。何と言っても人材の引抜だ。これはまさしくご法度である。短期的には引き抜かれた方には即座に困るという状況。先々を見れば、好待遇で引抜き合戦を始めれば、給与相場に跳ね返る。

 だから、マネージャやエンジニアが応募してきた場合に、現職で別の日系企業に在籍中の者は採用できなかったし、退職して間もないものの場合も、前職の会社に問い合わせて互いの了解の下に採用した。

 ところがMEPZ2に米系のLというプリンターを製造する会社が来てからというもの、遠慮なく持っていかれた。欧米系はそこの責任者も今結果を出せなけりゃ自分の身に降りかかる。全体の協調などと、呑気なことは言っていられない。農耕型と狩猟型の違いそのものだ。

 やがては、日本人同士のこの暗黙の掟も形骸化していくだろう。

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August 23, 2007

第232話 目先の利益

 わが国でも一時期リストラと称して早期退職なるものが流行った。確か、割り増し退職金は年収の1年分とか2年分とか、今にして思えば随分と大盤振舞いしたものだ。それでも、辞めていく者は清水の舞台から飛び降りるくらいの決断を要した。永年勤めた会社への愛着なども踏みとどまらせる要因だろう。

 フィリピンは外資系企業の多くにとって生産基地である。ということは景気の動向によって必要人員は大きく変動するし、特に稼動が目先だけでなく暫くに亘って落ちそうな時に人員整理を考えるのは当然の成り行きである。割増退職金付きの退職募集には、あっという間に目標人員数が応募してきた。在職期間にもよるが、最も多いものでも6ヶ月分だ。製造オペレータの古参が応募してくるのは目論見通りとしても、課長クラスの者3人、部長クラス2人(部長クラス2人は想定通り)は見方によってはややショッキングである。

 その時に応募してこなかった者でも、未練があったらしく「次の早期退職はいつやるのですか?」と聞いてくる者もいた。この6ヶ月分の割増というのは、フィリピン人にとってかなり魅力的に見えるそうだ。次の職が無ければ、6ヵ月後には収入が途絶えるはずだが、そんな先のことは考えないのか。

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August 20, 2007

第231話 フィリピン人とお金

 フィリピン人とお金の関係で言えば、貯金もせず、あれば片っ端から使ってしまい、無くなったら人にオネダリする、という印象を持たれがちだが、ある程度の教育を受けたレベル層は必ずしもそうとも言えない。

 元経理部長のYは毎月のサラリーの30%は貯金していたし、他のマネージャの中では株を時々購入している者もいた。

 そんな中で、元EDP部長のJはこまめに土地を購入していた。土地だけでなく上モノも建てて賃貸に供していたり財テクに余念が無かった。そんな彼でもフィリピン流が見え隠れする。

「困ったことになりました。今建築中の建物ですが、セメントを買うお金が足りません。」

「じゃあ、マネージャ向けの優遇ローンがあるのだから、それを利用したらどうだい。」

「いや、それはちょっと…」

 会社経由でローンを組むと、返済するまで転職ができなくなる。転職の好機を窺う彼にとっては良い策ではない。私に貸してくれと言いたかったのかも知れないが、そんなことをすれば、他の者からも金の無心がやってくることは目に見えている。

 結局、彼は工事の一時中断を余儀なくされた。行き当たりばったりな印象が無きにしも有らずだが、フィリピン人にしては将来のための蓄財を地道にやっている方だろう。

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August 12, 2007

第230話 マンゴージュース

 最近はマンゴー素材のものをよく見かける。ゼリーだのプリンだのある中で、やはりジュースはそのものを賞味するのに一番だ。以前、赤羽にあるアジアンレストランで飲んだことのあるジュースは美味しかったが、何故かドバイからの輸入品だった。あんな砂漠の国にもマンゴーってあったのか。

 今、銀座でアセアン40周年を記念して、展示会が催されているので、クソ暑い中を行って来た。入るとすぐにマンゴージュースの試飲に誘われた。暑い中歩いてきたこともあって、美味しかった~。各国、それぞれの民芸品やら特産品が展示されているが、インドネシアとフィリピンはやはりココナッツが前面に出ているコンセプトだ。

 1回には売店もある。ここでもいくつか気になったアイテムがあったが、さっきの試飲のジュースが忘れられず、1本購入。20077_004 2~3本買っても良かったが、荷物が重くなるので1本にした。帰りの電車に乗って気がついた。フィリピン産のドライココナッツを買いもらしてしまった。たったこれだけのことで、また行くべきかどうか…

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August 05, 2007

第229話 撃った?

 部下のUがある朝、血相を変えて私のところにやってきた。

「昨日、人を撃ちました!」

「えーっ、どこで、何で、どういうことだ?」

「個人的な問題があって、話しをしていたんですが、撃ってしまいました。」

「相手は死んだのか。どういうことだ?」

「足に向けて撃ったので、死んではいません。」

彼はそう言いながら、震えている。当り前だ。正直に話してくれたのは良いとしても、このままでは済まない。

 フィリピンでは銃の保有は簡単で、私も1丁持っていた。と言っても保管場所が限定されている許可だから、持ち出しは不可。彼の銃保有も保管場所は自宅、と決められていたものを持ち出しての所業だ。法律に従うと言う規範意識が薄いフィリピンでは保管場所限定のはずの銃が巷で使われていそうだ。日本人が巻き込まれる犯罪にもそんな凶器が使われているのかも知れない。

 因みに、彼はその直後に会社を辞めた。

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August 02, 2007

第228話 出戻り(2)

 そんな彼もやはりというか、帰国後はフィリピンにUターン。既に会社も退職していたが、現地での就職は容易ではない。数ある中には、語学力がある場合に限って、ローカル企業、特に観光会社やリゾートなどに就職できる場合もあるが、それも長くは続かない。

 彼は帰国前からいくらかの資金を投じて牛小屋を持っていた(正しくは関係者が運営していた)。フィリピンでは狭いスクワットの奥でも豚や鳥を飼っているのをよく見かける。僅かばかりでも収入を得るためだ。彼は現地風の生活に溶け込むのに然したる困難は無く、マーケットで見かけた、といった目撃情報も何度か聞いた。

 Uターンして2~3年して、目撃情報は途絶えた。牛小屋はもう無く、彼がどこに行ったかも分からない。結末は想像の通りだろう。結果の部分だけ見れば、彼がフィリピンに赴任したことで、人生の歯車を変えてしまった、とも言える。

 ところで、事業資金を日本人が出し、現地人が事業の運営をする。それも経営のケの字も知らない人が。このスタイルで仕事を進めてうまくいった試しがあるなら、聞いてみたいくらいだ。

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