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April 27, 2009

第330話 行かれなかったところ

 終戦の頃には多くの日本人がシベリアに抑留されたが、旧ソ連の中央アジアにも多数が連行され強制労働に従事させられた。戦争の悲劇と言えば同じはずだが、内地での惨事に比べて、外地で過酷な条件の中で亡くなられた人々はあまり話題にされず、いささか不公平である。

 ウズベキスタンにも相当数の日本人が連れてこられて鉄道建設やビルの建設に使われ、多くの人々が祖国に戻ることなく亡くなっていったそうだ。彼らの仕事ぶりは立派なものだったらしく、大地震で多くの建物が倒壊する中で、彼らが建築した建物は倒れることなく今でも残っているそうだ。首都のタシケント郊外にも日本人墓地があるというので、帰途には是非立ち寄りたいと思っていた。ちょうど飛行機の時間には5時間くらい余裕がある。

 列車はほぼ定刻通り、15:30頃タシケント駅に到着。タクシーの客引きがどっと集まってくる。ところが困ったことにここでは英語の通じる運転手は全くおらず、ガイドブックの地図でこの辺り、と指さしても仲間同士であーだこーだ。当然と言えば当然だが、地元の人には用の無い場所だから、運転手でも知らない場所なのだ。終いには指で30を描いて30ドルだとほざく。いくら外国人で足元を見るにしても度が過ぎる。距離は10キロもないはずだ。天気は土砂降りの雨だし、万一現地で帰りのタクシーが見つからなかった時のことを考えると、あまり時間的なリスクも取れない。後ろ髪を引かれる思いのなかで、結局、断念し空港に向かうことにした。

 

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April 23, 2009

第329話 バザール

 シルクロードと言えば思い浮かべるのは青空とモスクと、そしてバザールだ。ウズベキスタンの地方都市には所謂スーパーマーケットはなく、バザールは多くの人でごった返している。このような場所ではその土地の生活感が感じられるのが楽しい。多くのアジアの国では市場=スリに注意、であるが、治安のよいウズベキスタンではその心配もない。Himg0076

 時期的にはまだスイカなど多くの果物が出回る時期でないので、フルーツ類は少ない。野菜も量は多いが種類は多くなく、特に葉物野菜は特に少ない。滞在期間中に口にした野菜はの種類は今でも数えられる。ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、トマト、キュウリ、大根、ネギの7種類。レストランでサラダを注文してもキュウリとトマトしか皿に乗っていなかった。魚も売られているがこれもアリダリア川とシムダリア川で獲れる川魚しかない(この二つの川の水量が減って年々アラル海が小さくなってきている)。泥だらけで台の上に乗っている魚は見てもあまり食欲が湧かない。肉は大きな塊で台の上に乗せられていて、その都度切って秤売りだ。冷凍設備もなさそうだし、売れ残ったらどうするのカナ。スパイス類はさすがに種類が多いが、残念ながら嗅覚に難があるので、どんな匂いがするのか分からず。

 土産で大好評だったのは、スザニと言われる手づくりの刺繍生地でできたトートバッグと青が基調の陶器の皿。いかにも土産物といったものでなく、現地では普通に日々使われているものの方がさりげなくていい。

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April 21, 2009

第328話 民族の坩堝

 ウズベキスタンは昔から様々な民族がやってきては支配し滅んだ。だから居る人たちの顔立ちも様々。ウズベク系の人が多いが、ロシア系も少なくないし、日本人とあまり外見が変わらないモンゴル系や朝鮮系も結構いる。それでもスターリンが宗教を取り締まった歴史背景からかイスラム色もさほど濃くないし、早朝にアザーンの声で起こされることもない。モスクの隣に仲良くロシア正教の教会が並んでいたりしている様は意外な光景だ。

 裕福さは見られないが、フィリピンの貧民街のようなエリアも見かけない。だからどこでも安心して歩きまわれる。午後路地裏を歩いていると、学校帰りの子供たちとすれ違う。興味があるのか、よく声をかけられる。そして写真を撮ってくれとせがまれるのはどこでも同じだ。Himg0048 Himg0047

 公園の近くで物乞いのおばさんに目をつけられてしまった。無視してもついてくるので千スム(70円位)ほど握らせたが、抱いている子供を指さして“もっとよこせ”と言う。周囲には“同業者”らしきものもチラホラいるし、ずらかるしかない。おばさんも執念で500mくらいはついてきた。ちょうど緑色の服を着た警官がいたあたりで、おばさんはようやく引き返した。やはりというか、どこの国にも負の部分はあるものだ。

 

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April 16, 2009

第327話 7時間の列車の旅

 さて、タシケント→サマルカンド→ブカラと移動し、今日はまたブカラからタシケントまで戻る日だ。今回の旅行を象徴するかのように朝から雨で薄暗い。

 大体においてこの国の標準時はちょっと偏っている。日の出は7時頃で日没は6時半頃だ。だからこの日も雨のせいもあるが7時過ぎでも薄暗い中、迎えの車に乗り込んだ。そのときホテルのマネージャが太った男性を連れてきて、この人も駅に行くので同乗させてくれという。まあ、この男性にしてみればチャッカリただ乗り、と言うわけだが、こちらが損をするわけでもないので了承。

 今日も列車は寒い。しかも景色は単調。これで7時間。しかも隣には全く言葉の通じない人。ブカラを出て3時間、サマルカンドに列車は滑り込む。来た時と同じようにナンやサムサを売りにくる女性たちがドッと乗り込んでくる。ちょうど昼時だ。サムサでもを買おうかとキョロキョロしていると、隣の席の男性が話しかけてきた。ロシア語かウズベク語だから全く分からない。そうこうしているうちに、彼はカバンの中から更に大きなポリ袋を引っ張り出してきた。彼はその中身を全部テーブルの上に並べた。ナン、ゆで卵、ソーセージ、ラビオリ風の揚げ物、パイ、量はドッサリある。彼は盛んに勧めてくる。言葉は分からずとも気持ちは伝わるものだ。私は「スパスィーバ!」(これくらいのロシア語くらいしか喋れない)と言って貴重な食べ物からお裾分けを戴いた。多分羊の肉だと思う。ソーセージがやたら美味しかった。日本でも売っているなら絶対に手に入れたいと思うほどだ。Himg0086

 自分のカバンにもスナック類はいくらかある。そのなかから二つ三つを彼に勧めた。彼は手にして暫く見ていたが、嬉しそうにカバンに仕舞いこんだ。もし煎餅やドラ焼が家族への良い土産になったのなら嬉しい。

 この後のタシケントまでの4時間、相変わらず会話のキャッチボールはできない状況だが、隣の人と友好的な関係にあると思えると、不思議と退屈には感じないものだ。

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April 13, 2009

第326話 トイレ事情

 海外で気になることの一つはトイレだ。ホテルから1歩出るとまともなトイレは無い、ということも珍しくない。イエメンでは雇ったドライバーが道中で車の外に出て突然しゃがみこんだし、単に“壁にひっかける”だけのところもあった。

 それらに比べるとウズベキスタンはマシな方だ。チップ式のところが多いが、その分掃除だけはされているので不潔というほどではない。水洗式ではあるが、日本でも30~40年前はそうだったように、水タンクは上についていて、紐を引っ張って水を流すスタイルだ。

Himg0085  昔懐かしいトイレにも出会った。特急列車のトイレだ。小学生の頃線路のガード下を通るときは上を向いたり口を開けたりしてはいけない、と言われたものだ。そんな“国鉄仕様”タンクのないボットントイレがここではまだ健在だ。トイレに入って下を覗き込むと枕木がピュンピュン通り過ぎてゆく。まあステップ地帯で周りに人家もないし、どうせ羊や牛たちがあっちこっちでやらかしているのだから、まあこれでいいのかも。

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April 10, 2009

第325話 職人のハサミ

さて、ハンマームでちょっと痛い思いはしたけれどサッパリしたし、ビールをとも思ったが、まだ時間は少々早い。タキ(ブカラ風の商店街)のなかをブラブラ歩いていると、みやげ物売りの呼び込みがウヨウヨいる。その中には若い女性も多く、一人(美人!)が英語で声をかけてきた。

「あなたの名前は?」

「ヒロシだ」

すると「ヒロシサン、カッテ、カッテ!」と盛んに腕にしがみついて来る。(何で、そこだけ日本語なんだよ~。誰か仕込んだ奴がいるな。)

 あいにく、皿やら刺繍のバッグなどもう既に買った後だったが、そうでなかったら多分彼女の術中にはまっていただろう。

 少し先に間口の狭い鍛冶屋があった。作っているものはナイフや鋏らしい。さすがにナイフの国内持ち込みは成田でどうなるか、だが、鋏なら大丈夫だろう。コウノトリの形をした変わった形の鋏だが、試し切りをしてみたら抜群の切れ味だ。切れ味の良い鋏かどうかは、ふにゃふにゃのティッシュペーパーなどを切ると違いがわかる。Himg0095

 国際的なコンクールでも入賞したことのある鍛冶屋だそうで、その分値引きをする気配は全く無く、ひとつ25ドルからビクとも動かない。結局二つ買うことで42ドルでこちらも妥協。鋏には名前を彫りこんでくれた。ハンドメイドの鍛冶屋の鋏、ちょっと高かったけれど、いい土産になった。

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April 07, 2009

第324話 ハンマーム

 昨年のイエメンではハンマームで往生した。トルコ風呂と言えばトルコ系民族の習慣、ウズベク人もトルコ系の顔立ちが多い。ということはハンマームもあるということだ。ここでも現代生活では普段使うものでなないだろうが、ブカラの旧市街に1軒あるのを見逃さなかった。

 入口は目立たないが、看板はついている。イエメンのときは入った途端にムンムンの熱気が流れてきたが、ここは一応はロビー風になっていて、寛ぐことも出来る。問題は値段だ。3万スムとなれば、2,200円くらいになる。ちょっと躊躇したが、一度入ってしまうと値段を聞いて出る、というのもなかなかできないものだ。Himg0080

 薄暗いドームの内部では数箇所から熱い蒸気が吹き込んでいる。あまり近づくと熱いが、遠くに居てはまるで汗が出ない。近寄ったり離れたりを何回か繰り返していると、大男が手招きをしている。インストラクションに従い、暖かい大理石の台の上に寝そべる。このあたりは岩盤浴と同じ感じだ。特殊な手袋を嵌めた彼は、一気に体を擦り始めた。例によって表皮やら垢やらがポロポロ取れる。問題はこのあとだ。何やら白いクリームを体全体に塗り始めたが、ピーリングされた肌にこれは相当しみる。ヒリヒリすることこの上ない。何のクリーム?と聞くと、コブラジェルだと言った。コブラの何のジェルなのか知らないが、彼はスパイスとも言っていた。

 さあ、今度はマッサージだが、ミディアムで頼んだ。どちらかと言うと揉むことより体を捻る動作が多く、片逆海老固めでは背骨が折れるんじゃないかと思ったくらいだ。彼は盛んに「リラックス、リラックス」と言ってくるが、リラックスなど出来るわけが無い。

 まだ4時頃で時間が早いからか、客は少なかったが、終わるとお茶や菓子が出てきたりり、散々痛い思いをしただけにホッとした気分で茶をすする。あとは外に出てビールだ!

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April 02, 2009

第323話 アルク城

 恐ろしい思いをした観覧車を後にして、バザールの中の食堂でシャシリクとビール。ナン(パン)は黙っていても付いてくる。サマルカンドの食堂でもそうだったが、中に飲み物やスナックを売っている一角があって、支払の際は、食べ物は食堂の人へ、ビールは売店の人へ、と別々に支払うのでちょっとややこしい。

 アルク城は旧市街と新市街のちょうど間にある旧跡で、つい90年ほど前までブカラ・ハーンの居城だったそうだ。残酷なハーンだったらしく、門の前の広場では自分に逆らうものはことごとく処刑していたとか。Himg0045

 さて、入場門をくぐると例によって入場料だが、ここは840スム(約600円)とやたら取られる。この城壁の上からは市街地がよく見渡せる。しばらく景色を眺めているうちに、ビールを飲んだせいか小用を足したくなった。キョロキョロ見回していると、カモを探しているガイドの目に留まってしまった。

 「トワリェート」というと彼はなんと片言の日本語で「トイレ、こっち」と言って道案内を始めた。断ろうにもトイレも行きたいし、仕方ないので付いてゆく。(小用を済ませている間に親切ガイドがいなくなっていればいいなあ)という期待も空しく、彼は扉の外で笑顔で立っていた。(こりゃもう逃げられないな、あとはいくらに値切るかだ)

 城内を案内しながら確かにいろいろ英語で説明を聞かされたが、こちらの頭の中はチップをいくらに値切るかで一杯で、何も記憶には残らない。さて、そろそろ降りようとすると、彼は当然のように「私は良いサービスをしました。チップは20ドルです。」と来た。あまりの高額要求に、それならこちらも極端なことを言ってやろうという気になる。「チップ?冗談じゃない。私はガイドを頼んでいない。ボランティアだと思っていた。」彼は動作もオーバーに「あなたは私の説明を聞いていた」と言うので「私はガイドを頼んでいない。でもトイレに連れて行ってくれた。そのことに対しては1ドル払おう。」と言うと、「10ドルでどうだ。これが全てだ。」と情勢が変化。それでも私は取り合わず、外に出ようとすると、しつこく付いてくる。雲行きもおかしく雨も降り出してきた。傘も無いのでタクシーが必要だ。私は折衷案で、彼に「マリカホテルに行くので、運転手と5000スムで行くように交渉してくれ。」と言って彼に5ドル握らせた。彼も落としどころと思ったのか、今度は快くOKして運転手に交渉してくれた。

 ここに限らず、旧市内でもとにかくガイドの売込みが多い。「明日はどこに行くのか」とか聞いてくるから終日ツアーの売込みだ。中にはビックリするくらいの美人もいて心が揺れないでもなかったが、翌日タシケントに異動する日とあっては如何ともしがたい。

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