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July 27, 2010

第384話 最近のレイテ

 オルモックへの帰路はショートカットの新しい道を通った。ソゴドの食堂で昼飯(3人で140ペソ)を食っていると、オートバイのツーリング族が入ってきた。30台くらいの集団で如何にもといういでたちだ。ほう、最近ではフィリピンでもこういう趣味の人もいるのか。聞けば1日がかりでレイテを1周しているそうだ。

 ところで、この食堂ではもう一人(ひと組)目を引く人がいた。やはりオートバイで入ってきた者で、欧米人と思しき年配の男性と若いフィリピン人の女性。身なりから見ると、近所の人だろう。12年前に来た時にはオルモックでさえ欧米人を見掛けなかったが、今回はオルモックはもとよりマーシンでもかなり多くの欧米人を見かけた。

 A氏によれば、ほとんどがネット上で知り合い、そのまま結婚、という組み合わせが今では非常に多いそうだ。しかし、「結婚した後であまりの係累の多さにびっくりしてるんじゃないか。」と笑っていた。しかし、こんなフィリピンの片田舎の生活に耐えられる彼らもなかなか逞しい。

 ソゴドからは山間部を北上し、標高が高くなるとそれなりに涼しくなってくる。この辺りの道路や橋もほとんどが日本のODAで出来ているが、フィリピンではこういう場合、必ずと言ってよいほど、政治家の顔写真のポスターが「私が作ったのよ」と言わんばかりに掲げられている。Jica

 やがて、タクロバンへ行く道を右に見送ってどんどん下って行くと、ストンとバイバイの市街、ちょうど例のジョリビーの角に出る。しばらく僻地にいたせいか、ジョリビーがあるだけでバイバイが近代的な町に見えてしまった。

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July 20, 2010

第383話 演説集会(3)

 ウトウトしているところでいきなり名前を呼ばれれば誰だって驚くだろう。にわかに目が醒め、立ち上がって軽く手を振ったが、それだけでは済まなかった。何か一言喋ってくれという。

 実はそういうこともあろうかと思って、その場合は何を言うか昼間のうちに少しは考えていた。

 彼は物流や購買のマネージャをしていたが、サプライヤーからのアンダーテーブルは受け取ったことはなく(本当のところ多分あったとは思うが…)、信頼できる人柄である。彼が町の政治に従事するなら、彼は町の人々の利益だけを考えるだろう。

 てな感じのことを言うつもりであったが、居眠りしている間にすっかり頭からは吹っ飛んでいる。で、「彼は私の部下であったが、任された仕事には全力を尽くした。彼はサプライヤーからカネを受け取ることは決してなかった。だから特定の人の利益のために働くことはしないだろう。」ここまでは然程害はないと思うのだが、次の一言は余計だったかな。「勿論、彼は票を買うことはしない。」

 最後の部分は、彼がそう言っていたのを咄嗟に思いだして言ってしまったことなのだが、本当かどうかわからないし、票を買わない、ということで“失望”する人だっているかも知れない。結果的には彼の当選は叶わなかったわけだが、その一言の関係は…。まあないでしょ。と思います。

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July 17, 2010

第383話 演説集会(2)

 さて会場の空き地。数十人の人が集まっているが、ほとんど暗闇と言ってよい。隣家の窓から漏れてくる明かりで辛うじて人の動きが見えるが、足元は摺り足で歩かないととても歩けたものではない。(フィリピン人はみんな視力抜群だから、真っ暗闇のなかでもスタスタ歩いているのはさほど驚くほどではない。)

 A氏に「ここでミーティング?」て聞くと、彼もこの状態は意外だったらしく、「照明を取り付ける者がまだ来ていない」だそうだ。それでも暫く待ってもその「照明係」は結局現れず、誰かが裸電球とジェネレータを持ってきてバスケットのボードの上に引っ掛けた。まあ、さっきよりは見えるが、闇夜の集会っていうのもなかなか不気味なものだ。

 司会者氏の話、これがまた長い。ビサヤ語だから聞いてもさっぱりわからないが、握り拳で威勢よく喋るものだから、知らない人が見たら、まるで彼こそが立候補者に見えてしまうだろう。次にさっきのシニアなんたらのお爺さん、カウンセラーのお兄さん、それぞれが熱弁を奮っているが、間に挟まる歌や踊りの方が何だか主役みたい。まあ、爺さんたちの話よりは、若い女の子のダンスの方が見ていて楽しい。

 さあ、時計を見ればもう23時を回っている。周囲ではさっきから酒をあおっていたオジサンたちは地べたでグーグー寝ている。その一方で、こんな時間でも子供たちが多いというのは何ともアンバランスな光景だ。その理由は最後にわかった。最後に配られる菓子やアイスキャンディを待っていたのだ。最初に配るとそれをもらってそのまま帰ってしまうのは容易に想像できる。

 暗いのと、飲んでいたこともあって、こちらも起きているだけで精一杯でウトウトしていると、突然司会者から名前を呼ばれ、ハッとして目が覚めた。

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July 13, 2010

第383話 演説集会

 A氏は日中も夜も支持者の家に立ち寄っては挨拶を交わす。何人か集まれば軒先でビールやコーラを飲みながら、あーだこーだ。見慣れない日本人がくっついているので、どこでも取り敢えず注目はされるし、紹介されるので、どこの誰だか分らないけど、こちらも取り敢えずは握手。

 2日目の夜は集会があるというので、どんな雰囲気になるのかこれにも顔を出してみることにした。集会と言っても人口1万人にも満たない町だから、公民館などといった気の利いたものはあろうはずもなく、当然青空集会だ。19時から始まるとは言っていたが、まあフィリピンだから早くて20時だろう。

 それまで、ここで食事をしていてくれ、というので連れて行かれたのが、老夫婦の家。メシといっても、おかずは7~8人で焼き魚1尾とキビナゴのような小魚の酢漬けだけの質素なものだ。客人は酒飲みだということだけはよく心得ていて、冷やしたサンミゲルが1ケース置いてあった。

 いろいろ聞いていると、ここのお爺さんはシニアなんたらの候補者だという。外に出てポスターを見ると、確かにお爺さんの顔写真もその中のひとつにあった。フィリピンでは選挙の時にこのシニアなんたらの他にもカウンセラーだとか、セットになって立候補する仕組みのようである。カウンセラー候補者という人も実はこの食事の集まりの中にいた。彼はまだ30歳くらいに見えたが、町を活性化させるためにいくつかアイデアは持っていた(実現性はちょっと疑わしかったが)。

 「会場に人が集まってきたから、そろそろ行こう」となったのは、予想通り20時を少し回ったころだ。もうサンミゲルも3本飲んだし(実はこの前に立ち寄った家でも2本飲んだ)、だんだんかったるくなっていたが、今後こういうものを見ることもないかもしれないので、すっかり重くなった腰をあ上げ、みんなの後ろにくっついて、上り坂をフラフラと登っていった。

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July 06, 2010

第382話 カリバラン

 3年前に通ったセントバーナードの地滑り現場は、相変わらず鼠色の地肌を剥き出しにしていたが、多少緑色も点在するようになっていて、時間の経過を感じさせる。

 前回宿泊したアナハワンのホテルはオペレーションしていないため、今回の宿泊地は隣町のカリバランの小さな民宿だ。自宅の1室を客室用に改造した簡素なものだが、昨日と違って湯は出た。TOP'S LODGING HOUSEの1泊1,000ペソは超田舎町という立地から言ってもちょっと不自然な価格とも言えるが、ほかにホテルらしい建物もない。近くにも目ぼしい見どころはなく、200年以上前に建てられたという教会と海がきれい、というくらいだ。Photo

 さて、ここカリバランに来ると、いつも必ず顔を合わすおばちゃんがいる。彼の親せき筋らしいのだが、食事をしていると必ず現われて、飲み食いする。支払は当然私である。ホテルは食事は出ないので、朝昼晩、近くのレストラン(と呼べるかどうか??だが他に適当な呼称が思いつかない)でA氏とメシを食っていると、必ずそのおばちゃんはやってくる。初めのうちは彼女一人だったが、次はその息子たち、その次はカズインだのネフューだのとだんだん膨れ上がってゆく。タダで食えるんだから当然か。終いには、勝手にビールをジャンジャン注文し、息子が、「どうぞ、」と言って注いでくるが、どうぞも何も俺の払いだろっ。まあ、少々食っても一人100ペソもしないからいいようなものだが。

 あとでA氏から聞いたところでは、今回のホテルは彼女が手配したというから、う~ん、千ペソのうち、2~300ペソはキックバックかな…。

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July 02, 2010

第381話 昔通った道:マーシン

 バイバイ、ヒロンゴスを過ぎると、さらにさびれ加減が増してくる。ヒロンゴスから先は3年前に通ったが、このときは超すし詰めのハイヤーで、景色なんか見えなかった。今日は視界良好で、しかも天気も抜群にいい。

 やがて道は海岸べりを走るようになり、遠くボホールを眺めながらの快適ドライブだ。それにしても空が青い。海も青い。空と海とが青さを競っている。60年以上前にこの地で命を落とした多くの兵隊さんたちも、この奇麗な景色を見ていたのだろう。

 マーシンは南レイテ州の州都である。が、同じ州都と言ってもセブ州とは比べものにならないくらい貧弱である。週全体でも人口36万人で、州都マーシンの人口もせいぜい8万人(ラプラプ市の半分くらい)、この州には他に“市”はない。いわゆる市街地もクルマで3分も走ればあっけなく終わりだ。マクドナルドやジョリビーすらない州都なんて他にあるのカナ?

 ここを過ぎると再び海岸沿いの景色の良い道になるが、さすがに飽きてくるころ、田園地帯のこれも単調な景色に変わる。ちょうど米の収穫時期ともあって、近所の農家が収穫した籾をコンクリートの道路脇に撒いて干している。A氏によれば、道路の上だと早く乾燥するからだそうだ。そのため路側帯は延々とまっ黄色であるが、ずうずうしい者は道路の真ん中まで敷き詰めている者もいる。A氏は「モンダイナーイ」と言って、コメの上を走り抜ける。

 南に向かっていた道はやがてV字型に向きを変え、北上するようになり、景色もガラッと変わる。今度はパナオン島を右に眺めながら、相変わらず単調な道をソゴドに向かう。

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