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March 24, 2011

第402話 モスタル

 寒々しい空の中、バスは南へ向かう。丘陵地帯の緩く登っては下り、集落を見てまた登りにかかる。そんなことを何度か繰り返し、いい加減飽きてきた頃に小さな街の中でバスは停まり小休止。この小休止がクセもので、バスは頃合いを見て、中の乗客を確認することもなく発車してしまう。のんびりとトイレで瞑想に耽っていたら、間違いなく置いて行かれる。観光バスじゃないんだから、まあ当然か。

 やがて長いトンネルを抜けると、俄然景色が変わってきた。さっきまでの雪景色はすっかり消えて空も青みを帯びてきた。サラエボの運転手が「モスタルはいいぞ」と言っていた意味が理解できた瞬間だった。山岳風景もいい。眠気を誘うような丘陵地帯でなく、アルペン的なメリハリのある山容の間の峡谷をバスは走る。これでこそジナルアルプス山脈のバスの旅だ。缶ビールを買っていなかったことを後悔したが、あの寒さの中ではビールを買うなんてことは、これっぽっちも考えなかった。

 やがてまたハチの巣だらけの建物が増えてきて、モスタルの市街地へと進んでゆく。もうハチの巣は見ても何とも思わなくなっていた。モスタルのバスターミナルではソベ(プライベートルーム)の客引きがワンサカいるはずだ。

 が、いなかった…。いるのは例の子供たちばかり。シーズンオフだからなのかな?こりゃ困った。しかしここでウロウロしていると子供たちに囲まれてしまいそうだ。で、とにかく歩きだす。確か、川の手前側(モスレム側)にいくつかB&Bがあったはずだ、と、どこかに書かれていた記事を思い出し、そちらに向かう。小さな町だから、道は大体見当がついた。5分くらい歩くと1軒みつかったsign03 が、近づいてみるとどう見ても普通の家でしかも鉄の門に鍵がかかっている。sweat01 小さな張り紙を見つけた。何やら“用がある人は・・・・・・に電話してくれ”と書いてあった。ゴソゴソ携帯を取り出して、その番号をポチポチ押していると、通りがかりの人から声を掛られた。

「ソベを探しているのかい?」

「そうだけど…」

「どうぞ、入ってくれ」

と言いながら彼はその鉄の扉の鍵を回した。

「あなた、ここのオーナー?」

「そうだよ サラエボからかい?」Photo 彼は部屋を案内しながら、1泊朝食付きで€34、明日ドゥブロブニクに向かうなら、バスは10:30だよ、と必要なことは全て話した。予算よりちょっと高いが、それより野宿にならなかっただけでも有難かった。部屋は2部屋使えるし、窓からの景色も気に入った。まだ3時前だから、とにかく外に出よう。小さな町だから夕方までにひと回りできそうだ。(写真は宿の向かい側のハチの巣の家)

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