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March 10, 2011

第399話 ヨーロッパの火薬庫

 バルカン半島と聞けば多くの人は何か混沌とした掴みどころのないイメージを持っているのではないだろうか。モザイク国家とかバルカン政治家(常に状況に応じて複数の勢力の中を渡り歩く政治家)とか独特な言葉で形容されることの多い、そして以前から紛争の多い地域だ。

 サラエボに到着したのは夜9時過ぎだった。空港には両替がなく、ユーロはあるものの現地通貨は持っていない。よってバスには乗れず、タクシーしかない。因みにここボスニア・ヘルツェゴビナの現地通貨はコンベルティブリナ・マルカというやたら長ったらしい舌を噛みそうなネーミングであり、ユーザーフレンドリーとは言い難い通貨名。

 タクシー乗り場はあるものの、並ぶという習慣はないらしく、そのあたりはフィリピンや中国と似てなくもない。それにしても3月だというのに雪も降っていて、どの車も屋根に10センチ以上の綿布団を乗せたまま走っている。やっと捕まえたタクシー。運転手の英語力は基本単語を知っているという程度だから、行き先はメモを書いて見せた。

 何を言っているのかわからないが、最初は中国人かと聞かれた。ヤパンだと言うと、俄かに愛想が良くなり陽気に喋り出した(この国では何故か多くの中国人がいて、素行が悪く評判が悪いらしい)。明日はどこへ行くのだと聞くので「モスタルだ」と答えると、「そうか、モスタルか、それはいい。ここは寒いがモスタルは暖かい。モスタル、そりゃいい。」みたいなことを連発して私の肩をポンポン叩く。

 そうこうしているうちに安ホテル(朝食つき35ユーロ)に着いた。道路はツルンツルンの坂道で滑りやすく、運転手が鞄を入口まで運んでくれた。15ユーロだという。5ユーロ紙幣がなく、20ユーロを渡すと、彼は釣り銭のコインをよこした。

 さて、部屋に入って先ほどのコインを見た。何と!5ユーロだと思っていたら、5コンベルティブリナ・マルカのコインだった。確かにユーロのコインと大きさも似ているが、やられた!あの人の好さそうな運転手がわざと、とは思いたくないが、普段使っている自国通貨と間違えるとも思えない。うっかり間違えたのか、知ってやったのか、それは今も分らない。Photo

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Comments

お帰りなさい。
5ユーロ・570円として、5コンベルティブリナ・マルカはいくらくらいなのでしょうか?その差額が損害ですね。
こういうケースは金額の多寡では測れない精神的ダメージがありますよね。

Posted by: 旧エゾシカ | March 10, 2011 at 02:19 PM

何とか戻れました。
だいたい2コンベルティブリナ・マルカで1ユーロなので概ね300円弱の損失でした。まあ、これくらいで済んでよかったです。

Posted by: 富嶽庵 | March 10, 2011 at 03:49 PM

懐かしい国なので思わず投稿します。
ヨーロッパの火薬庫とは苔の生えるほどの古い表現(笑)ボスニアは3月はまだまだ寒い時期、一番美しいのは5月、山はまさしく百花繚乱、古いヨーロッパにタイムスリップさせる旧ユーゴスラビア、大好きです。サラエボはあれだけの惨事がありながら温かい人情。サラエボはミニビエンナと言われるほど美しい街。私は98,99年の大半をボスニアで過ごし全国を自分で運転し廻りました。大雪で動けなくなり通訳と一緒に通りがかりの民家に1週間世話になったりと。未だ血が乾ききってない時でしたが温かくされました。一昨年ロシアの帰り2週間滞在、旧交を温めました。次回は是非モスタールのワイン、そしてベオグラードまで陸路で行く事をお勧めします。因みにサラエボ市内を走っているMANのバスは日本の援助です。サラエボのGreat Shanghaiの中華料理は私が教えたものです。ここの厨房を借りて食べたい物を造ってました(苦笑)

Posted by: PanaSonny | March 10, 2011 at 11:39 PM

そうですか。ボスニアに長期滞在とは珍しいですね。サラエボは市内は数時間しか歩いてないので、次回はもっとゆっくり見たいですね。

Posted by: 富嶽庵 | March 12, 2011 at 01:25 PM

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