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March 17, 2011

第400話 南リアス線

 災害の話題の主軸はすっかり原子力発電所の方に移ってしまった感があるが、津波被害の方も全貌も明らかでなく、無事だった方々も全く安心できる状況でなく、しかもその後の復興にしても容易ならざることは誰の目にも明らか…。

 昨年の夏にこの辺りをうろついていた。一関から大船渡線で気仙沼、陸前高田を通り、大船渡の盛から南リアス線に乗り換えた。のどかな海岸線を走る列車は最近は観光客も多く、時折広がる海岸線の景色に誰もが歓声を上げていた。北リアス線はトンネルが多かったが、暗くなると銀河鉄道のイメージが広がり、目の前にジョバンニとカルパネルラがいるような錯覚さえ覚えた。

 車内では地元のおばちゃんたちが、ホタテの浜干やらおにぎりなどを売っていた。どれも非常に安く、美味しかった。だからビールも進んだ。始発駅では駅の方々が総出で出発する列車に手を振っていた。乗客も声をあげて「行ってきまーす」と返していた。

 ひょっとしたら、あの駅舎はもうないのか。手を振っていた駅の人達は今も無事なのか。ホタテを売っていたあのおばちゃんたちは今も元気でいるのだろうか。何だか、あの時のスローな旅すべてが、銀河鉄道のようにフィクションの物語のようだ。そしてジョバンニがうたた寝から目覚めたときのような出来事がやはりそこにあった。

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Comments

自分は秋田生まれで、今回被災した太平洋沿岸都市には親戚・知り合いはたまたまおりませんでしたが、犠牲になった人・避難所の方々には心からお見舞い申し上げます。底冷えの寒さは経験しているので、よく分かります。しかも空腹から来る冷えは本当に辛いものです。
富嶽庵さんのご旅行はおそらく当分の間、再訪できないものですね。
青函連絡船のように永遠にできない旅にはなってほしくありませんが。
被災地の一日も早い復興をお祈り致します。

Posted by: 旧エゾシカ | March 17, 2011 at 05:04 PM

もう同じ場所に同じ集落ができることはないでしょう。誰だって同じ場所にもう住みたくはないでしょう。交通の不便な場所でしたが、忘れられない光景になりそうです。

Posted by: 富嶽庵 | March 17, 2011 at 08:44 PM

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