June 15, 2008

第284話 昨日の地震

 昨日の朝、NHKを見ていたら、「岩手県南部を震源とする地震が発生します。地震発生まで時間はありません。」と画面が切り替わった。ここ首都圏南部ではそれから十数秒後には確かにそれなりの揺れが感じられた。被災地ではほぼ同時に揺れがあったそうだが、これは画期的なことだ。

 まず何と言っても心の準備が出来る。落ち着いた行動をとることができ、最低限必要な動作を行うことが出来る。日頃からやることを決めておけば、数秒で動作を完了することが出来るものだ。

 ちょうど四川の大地震の後だっただけに、その差を感じずにはいられない。さて、フィリピンだったらどうだろうか。技術的な部分での議論はさておき、客観的事実よりも噂や推測だけで直線的に行動してしまう習性、或いは日頃からの慣性でどうにかなるだろうという価値観。その時になってからどうにかすれば良いという日頃の生活の中では快適な行動習慣は、緊急時には被害を大きなものにしてしまいそうだ。

 十数年前に登った焼石岳、そしてその渓谷沿いの夏油温泉。日が暮れるまで飽きずに浸かっていた露天風呂。どうなってしまったのか。

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June 06, 2008

第283話 おから工事

 自宅の近くの幹線道路で、数日前から道路工事が始まった。まだ大して傷んでもいない道路だが、舗装の張替えのようで、ガリガリと数センチの深さで削ったと思ったら、黒々としたアスファルトを今日撒いていた。。まさに工事のための工事、と言った趣で、こういうのを見てしまうと、やはりガソリン税には賛成しかねる。

 それはそうとして、技術的には日本の道路工事はやはり優秀だ。何年経っても傷まないのはすでに当り前として、仕事の納期が早くて正確。一方フィリピンで道路工事といえば数百メートルのコンクリート工事でも数ヶ月かかる。それも鼻歌交じりで寝転がっている作業者を見ていれば納得せざるを得ないが、品質においても、完成して半年足らずで穴だらけ、というのはよくみる光景。雨季になって洪水があると、危ないのは陥没箇所が隠れて見えないことだ。地元のフィリピン人はどこに穴があるか知っていて器用に避けていくが、慣れないうちはそれも難しい。

 四川地震ではおから工事が話題になっているが、セブでも経済界を牛耳っているのは中華系だから、おから工事に関してはフィリピンも負けず劣らず、だろう。「工事の費用が10あったら、関係者がどんどん金を抜いていき、実際に工事に費やされる費用は1しかない」と、フィリピン人からも聞かされたことがあるが、まあ多少誇張はあっても遠からずだろう。

 

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May 29, 2008

第282話 貿易赤字

 ややペソが下げ足を早めている感がある。それぞれの立場によって歓迎材料か否かはわかれるところだ。但し、当のフィリピンにとっては背景が歓迎せざる状況からの動きなら気になる動向だろう。

 ここ最近のデータでもGDP7.4%とASEAN諸国の中でもベトナムやマレーシアと並んで悪くないし、失業率や物価上昇率も比較的安定した推移だった。それでも上記2カ国と大きく違うのはエネルギー資源の有無だろう。既にエネルギーに加え、食料の輸入が額において急上昇している。しかも不安材料は電子部品の輸出入の動きだ。フィリピンでは電子部品の素材を輸入してその加工品を輸出するのだから、最近の電子部品輸入額の減少は電子部品輸出額の減少となって数字に表れてきそうだ。

 そうなると、ただでさえ若干の貿易赤字であった状況は、エネルギーや食料の輸入額が膨らむ中で、さらに顕在化するのではないかと予想される。最近のミニマムウェッジの引き上げもどうかと思う。純粋に労働力の需給バランスの中で自然に上がるなら良いのだろうが、法律で強制的に引き上げるとなると、海外からの投資家の心理も冷えそうだ。

 様々な商品の価格高騰の恩恵に預かる国もある中で、残念ながらフィリピンはどうやら取り残されている印象だ。

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May 09, 2008

第278話 イエメンで日本人誘拐!?

 イエメン中部で起きた日本人誘拐事件。無事にスピード解決されたのは何よりだが、危険度情報で上から2番目のランクの地域によくもまあ行ったものだと思う。

 旅行会社のツアーとは言うが、自分達は全く知らなかったのか。そんなことはあるまい。この辺りまで行く人はそれなりに海外旅行の経験が豊富な人だ。外務省の危険度情報くらい見ているはずだし、行く前にその国の歴史をちょっと調べただけでも僅か10年くらい前まで内戦状態だったことくらい分かるはずだ。何しろ国民一人当たりの銃器所有数はアメリカに次いで世界第2位である。

 私も現地で雇ったドライバー兼ガイドにマーリブの状況は尋ねた。彼曰く「以前よりは安全になったが、途中に油田の施設があって、まだ危ない。」そんなところに欧米に行くのと同じようなイデタチで女性がノコノコ行けば非常に目立つ。イエメン人の対日感情は非常にいい。そんなことも幸いだったのだろう。

 ところで35万円のツアーだったそうだが、私が行ったのは13万円でホテルまでの送迎のみ付いているというシンプルなもの。現地のガイド・ドライバーは着いてから探したり、近場はタクシーを借り切って移動したりで、滞在期間の行動経費は全部で1万5千円位だった。それでも充分に素晴らしいスポットに行くことは出来たし、危険を感じることはなかった(唯一例外は走行中に突然ポコッとボンネットが開いたタクシー)。

 こんなことでイエメンの印象が悪くなってしまうとすれば、残念なことである。

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April 21, 2008

第275話 レイテ戦記(2)

 レイテ決戦とはよく言ったものだと思わざるを得ない。もう既に制海権も制空権も奪われた時期になお人員を補給し続ける司令部。その時期にはフィリピンから台湾に逃れて避難する幹部すらいる状況だというのに。

 送り込まれた兵士も上陸して間もなく状況が分かり、そこから先は自活作戦という名の死の彷徨である。見つかれば銃弾を浴び、隠れ通していても待っているのは栄養失調による衰弱死。

 ところで、明らかな数字が見当たらないが、フィリピン人の被害も相当なものだったことは容易に想像がつく。ゲリラ化して米軍の一派となった者の被害だけでなく、米軍の爆撃によるものが多いとはいえ、相当の民間人も巻き添えになったようだ。それでも住民の大多数の反感は日本人に向けられていた、という事実を忘れてはならないだろう。

 レイテに限らず、末期にはフィリピン全土で同じような状況にあったようだ。フィリピンから幸運にも復員した方々によって書かれた本も少なくない。フィリピンに関わる日本人も多い昨今、フィリピン人に対する接し方がちょっと失礼ではないかと見受けられる人が少なくないが、そのような本を1冊でもよいから読んでみて欲しいと思う。彼らに対する見方や接し方も変わってくるはずだ。

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April 19, 2008

第275話 レイテ戦記

 ふ~、やっと読み終わったレイテ戦記。全部読みきるのに数ヶ月も要してしまった。全3巻のボリウムもそうだが、大岡昇平氏のライクワークとも言われる力作。読む方もしんどい。何しろ史実や調査に非常に忠実かつ詳細に記述しているため、非常に数字や固有名詞、それに古い用語が多く、相当気合を入れて読まないと何が書かれているのだかサッパリ掴めない。だから寝床で読む本としては重すぎ、読むときはよ~し読むぞ、と覚悟を決めて読んだ。

 それはさておき、先般の戦争とは一体何だったのか、と考えさせられるキッカケとなる作品だ。南方からの物資補給路にあたるフィリピン確保と死守を時の参謀が重視したのは事の善悪は別として理解に及ぶとしても、刻々と不利な状況へと変化する情勢を客観視できずにズルズルと精神論だけで無用に多数の兵士を死に追いやったとしか思えない。

 数字は捏造されない限り真実を語る。昭和19年以降フィリピンに投入された兵力59万人に対して46万人以上の戦死者。レイテ島に限っては投入84千人に対して生還者はたった2千5百人とほぼ全滅に近い。一方で米軍のレイテにおける戦死者は3千5百人。飛び道具の相手に刀で切り込む決死隊ではどう見ても結果は目に見えている。装備の違いも勿論歴然としているが、それ以上に組織なかんずくも軍隊の幹部の偏向思想とは恐ろしい。

 レバタラで論じるのは虚しいが、せめて1年早く降伏していたら、と思わずには居られない。

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February 25, 2008

第257話 鉱物資源

 原油だけでなくあらゆる鉱物資源の価値が高騰している。日本は国土は狭いながらもEEZを含む面積は447万平方kmと世界第6位に躍り出る。特に南方海域はレアメタルの埋蔵が有望視され、いずれ更に脚光を浴びるようになるだろう。地図をちょっと見ただけでも分かるが、南鳥島、小笠原、硫黄島、沖の鳥島、南大東島などは非常に小さい島ながら、効果的な位置に浮かんでおり、まさに孤軍奮闘の離れ島だ。

 一方のフィリピン、こちらも海洋国家だ。国土面積は日本の80%程度だが、やはり海洋面積を含めると世界第10位に躍進する。しかも鉱物資源も意外と豊富で、確認されている埋蔵量だけでも金は世界3位、銅が4位、ニッケル5位、クローム6位と経済効果も大いに期待できる。はずなのだが、いくつかの投資ファンドを見てもフィリピンをテーマにしたものは見かけない。事業としての採算リスクなのか?国の信用度によるリスクなのか?このあたりはよく分からないが、まだしばらく追いかけてみたいテーマだ。dollar

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November 23, 2007

第246話 どっちもどっち

 日本人とフィリピン人、お互いにどう思っているのか。夫々にステレオタイプな評価が支配されている感が無きにしも非ず、といったところだが、仕事を中心にしてみた場合、こんな評価が代表的なところではないか。

 フィリピン人から見た日本人…◎計画通りに事が運ぶ、丁寧で紳士的   ×結論が出ない、決断しない、見下す、社交性がない           

 日本人から見たフィリピン人…◎アイデアが豊富、記憶力が良い   ×時間の概念が薄い、論理的でない、いい加減                  

  日本人の負の部分も、大いに自覚すべきところではあるが、所詮日本人、どうしても相手の負の部分にイライラしてしまうことも多い。例えば、会議。彼らは枝葉の話に終始してしまい、目的を見失っていることが目につく。論理性は確かにどこかに置き去りだ。以前、ある記念式典の準備を検討させたところ、いきなり食事のメニュウは何がいいとか、エンターテイメントは何がいい、とかピンポイントの提案が飛び交うのだ。何のためにどんな式典にするのか、といった初期的な議論はすっ飛ばしだ。

 もっとも、日本人も問題だ。議論ばかりで結論や具体的行動になかなか結びつかない。差し迫った問題が起きても「事実関係をよく調査し…」「動向を良く見極めて…」というお馴染みのフレーズの後に行動が伴っていないことがほとんどだ。上に挙げた日本人の×の例もどこかに該当する人も少なくないはずだ。

 まあ、どっちもどっち。相手の悪い部分はよく目につくが、自らの足元もよく自覚して付き合うべきだろう。

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November 09, 2007

第245話 給与の格差

 給与に関して言えば、各国夫々の事情で特色があるが、日本の社会で少なくとも同じ会社や役所内での格差はかなり小さい(正規の社員や職員であれば)。年齢給と職能給が中心だからだ。そして職能給はどんな職種の仕事でも概ね年齢に比例して上がってゆく。だから貰っている給料の何倍も組織に貢献する者もいれば、数分の一の貢献すらしない者も、そう差は生じない。

 一方、フィリピンは完全に職務給社会だ。年齢は一切関係なし。どういう仕事(職務)への対応力を持っているか、これだけで決まる。夫々の職務給テーブルは一定の幅を持っていて、ある程度の昇給はあるが、まあ数年で頭打ちになる。それ以上給与が欲しければ違う職務にチャレンジするしかないが、そう簡単なことではない。しかも、ワーカークラスともなると、賃金テーブルの幅はごく僅かで、ミニマムウェッジが上がらない限り、下方にへばりついたままである。日本だったら正社員ならブルーカラーもホワイトカラーも殆んど同じように昇給するから、大きな違いだ。

 尤も、最近の工場現場の非正規化は作業現場における労務費の職務給化が狙いであり、ホワイトカラーは職能給、ブルーカラーは非正規化で職務給という流れだ。であれば、職務給は年齢に関係なく誰でもほぼ同一の賃金だから、需給バランスによる若干の変化はあっても、今後もボトムレベルでへばりついて推移するだろう。

 どうやら、日本も職能給の正社員と職務給の派遣請負社員という構図で、フィリピンほどではないにしろ、本格的格差社会へと向かう流れは止まらないだろう。

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October 31, 2007

第243話 フィリピンの格差拡大

 日本では格差の拡大云々が最近の大きな政治テーマとなっているが、フィリピンにおける格差は日本ほど小さなものではないし、また、不思議なことに政治テーマとしても大した課題ではない。人間社会に格差は元々あるもの、とハナから受け入れてしまっている。そのフィリピン国内の格差もさらに拡がってきている兆候と思われる数字を見た。

 JETROではなかなか有益な海外情報を発信しているが、投資情報として国別のみならず、都市別の投資コストを公表している。サンプリングの絶対数が都市によっては少ないからだろうが、やや信頼性の劣る情報もあることは、見る側で斟酌するしかない。

 たまたまマニラとセブがあったので、ちょっと見てみた。さて、人件費。13ヶ月手当を除くワーカーの総支給額の月額(恐らく残業含むだろう)。セブの10,979-17,772ペソに対してマニラ13,115-15,112ペソ。エンジニアの場合セブの15,601-25,261ペソに対してマニラ14,601-21,201ペソ。マネージャではセブの30,665-66,225ペソに対してマニラは平均値しかなく41,997ペソ。

 ちょっと意外だが、これはサンプリングに問題がありそうだ。見たら、セブは日系5社を調査、となっている。セブで日系5社なら凡そ想像はつくが、どこかの会社は誤った数値を(高い方で)提供していると思われる。妥当なところはセブはマニラの8掛けくらいだろう。

 ところで、別の都市でベトナムのホーチミンも見てみた。ベトナムではワーカーはフィリピンの6掛けくらいで安いが、マネージャクラスはフィリピンの1.5倍くらいだ。ということは、ベトナムはフィリピンより更に格差社会だ。であるなら、日本は凡そ格差社会と呼ぶには相応しい状況では未だないようだ。

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July 20, 2007

第226話 不法滞在者

 最近のNNAの記事によると、韓国からフィリピンへの訪問者の増加に伴って不法滞在者の数も増えているそうだ。正規査証保有者が就労11,000、就学29,000。これも凄い数字だと思うが、その上、査証申請中が85,000人。これで計125,000人。さらに既に不法滞在となっている者が少なくとも100,000人というから驚く。

 日本でも韓国人の不法滞在者数は約4万人と、中国と並んでトップレベルだが、どこに行ってもやるわけだ。

 先日、箱根で韓国から来たという夫婦に道を尋ねられ、教えてあげたところ、何度も丁寧に頭を下げられ、分かれた後も互いの姿が見えなくなるまで、振り返っては頭を下げていた。この一件で韓国人に対する評価が少し変わっていたのだが、今日のNNAのニュースで、ああやはり、という印象に戻ってしまった。

 だいたい、正規、非合法含めて20万人以上がフィリピンに滞在しているというのは凄い数字だ。人口約4600万人の韓国から、20万人と言えば0.5%近い人がフィリピンに居るということだ。例によって一大圧力団体に成長しなければ良いが。

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June 04, 2007

第213話 混血のステータス

 最近、テレビを見ていて、芸能人でも混血が増えてきている。が、出演しているのは欧米系の混血で、アジア系は殆んど見られない。アジア系を1段低く見るという日本人の負の価値観の表れだ。

 ところで、フィリピン人に混血が多いのは見ての通りだ。データは無いので勝手な推測だが、最も多いのはスペイン系。1/2もあれば1/4,1/8とか色々だ。セブ島北部のボゴは特にスペイン系が多く、美人が多いと聞かされ、行ってみたが、…。それと中国系も多そうだ。殆んどは福建省から渡ってきた人々の子孫だそうだ。中国系の人達は名前を聞くとそうだと判断がつく。 他ではやはりアメリカ系をよく聞くが、同じカソリックということからか、イタリア系というのもよく聞く。

 日本では、興味半分で「あなた何人系ですか」などと尋ねることは失礼な話だが、フィリピン人は全く気にしない。むしろ「私はハーフスパニッシュ」だとか、「お爺さんはアメリカ人」だとか誇らしげに言う。混血であると言うことがむしろポジティブな要素でさえあるようだ。反対にそうでない場合はむしろ恥ずかしそうに「アイム、ピュアフィリピノ」と答えるくらいだ。

 日本もフィリピンも島国と言う点では同じだが、フィリピンは何世紀にも亘って様々な民族が交差した。歴史的な経緯がかなり違うせいか、このあたりの価値観も相当違うようだ。

 

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May 29, 2007

第211話 フィリピンは環境先進国?

 フィリピンで製造業に携わる日系企業は環境レベルにはかなり気を使う。特に排気や化学物資の排出を伴う設備については、そう簡単には操業許可がおりないからだ。アンダーテーブルでどうにかなる場合もあるかも知れないが、当局から揺すられる材料はないに越したことはない。

 しかし、これらの規制はどう見ても笊で水を救っているが如くに映るのだ。工場から排出する水の水質は猪苗代湖並みのクリーン度を要求する。それならば、スクワットから流れ出る生活排水はどうなんだ。排気もそう。溶剤系の排気と一律には論じられないが、ジプニーが吐き出すディーゼル車の真っ黒い煙はどうなんだ。シートベルトの罰金もそうだ。ジプニーの運転手はおろか、バスの屋根の上のパッセンジャーとは何なんだ。

 ルールは作ったからには厳しく適用すべきだし、適用できないなら中途半端なルールはない方が公平だ。

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May 12, 2007

第205話 学力低下

 日頃の仕事柄、生徒達の学力には相当の危機感を実感している。漢字を書かせればアテ字も多く、先日も学力診断で訪問してきた小学生の漢字テストをチェックしていたら、教師が教士だったり、汽車が機車だったり。算数では小数点がつくとまったくお手上げ状態だったり、目を覆うばかりだ。

 ところがこれは日本だけでもないらしく、フィリピンでも進行している現象だとか。以下NNA記事より抜粋。

教育省傘下の国家教育テスト研究センター(NETRC)が昨年3月、数学、科学、英語、タガログ語、社会教育の5科目で実施した試験で、小学6年生の正答率が前年の58.7%から4.2ポイント低い54.5%に、高校4年生が46.8%から2.5ポイント低い44.3%に下がったという。

ビジネスワールド紙によると、小学生、高校生ともすべての科目で正答率が16ポイント低下。とりわけマニラ首都圏の児童・生徒の学力はほかの地域に比べ低いという。

 世の中が便利になると、苦労しなくとも結果が手に入るようになったり、人工的な楽しいことも増えてくる。忍耐強く考えたり、面倒な繰り返しの練習などが疎かになってくる。フィリピンもそういう時代になりつつある、ということか。資源に乏しく自前の産業が脆弱な国では、座視できないテーマだろう。

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April 29, 2007

第202話 バイオ燃料(2)

 フィリピンには関係ないが、これもバイオ燃料の話題ついでに。バイオ燃料の原料に食料が回され、食料不足になるのではないか、という懸念が現実的になってきている。既に米国ではとうもろこしが高騰しているとか。わが国は食料自給率が驚くほど低い。小麦は14%、大豆は4%、果実や魚介類も輸入の方が圧倒的に多い。国内生産で賄えるのは米と卵と野菜くらいだそうだ。誤解されているが、欧米は基本的に農業国だ。多くの国が主要作物は国内で賄っている。

 だったら、日本で有り余っているものは?ゴミだ。これなら売るほどある。以前都内某埋立地のゴルフ場でプレーしたとき、コース内喫煙厳禁というルールがあった。地中のゴミからメタンガスが微量だが発生していると言っていた。また、汚い話で恐縮だが、旧式のトイレは抜気式で貯槽の中にはガスが発生している。30年以上前だが、TVジョッキーでヘモス会会長なる者が、自分のオナラに火を点けるような芸をやっていた。また、どこかの家庭ではトイレの貯蔵物からガスを家の中に引き込み、それでコーヒーを沸かしていた。そのまま流してしまっては、資源としては利用できない。ちょっと抵抗はあるが、慣れてしまえばどうということはない。

 どうやら、こんな馬鹿馬鹿しいことに真面目に取り組む時代が来つつあるようだ。

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December 15, 2006

第178話 本を読まないから

 物事を考えるときに、現実論から入ってこうしようだと結論付けるか、原則論から入ってこうすべきだとするか、結果の部分では大きな開きを生じるものだ。

 現実論から入るとその場はうまく凌げるが、どこかで辻褄が合わなくなったり、或いは原則論から入ると、総論賛成、でも誰も具体的行動には至らず、というのがよく見る光景だ。

 日本は公式には原則論が優位で現実論は退廃的なイメージすらもたれている。そのくせ多くの人達の実際の行動は現実的だったりするから始末に悪い。フィリピンでは最初から現実論だ。しかし、そこは論理的な概念の構築という思考がやや弱いからそうなっているように思える。

 会議をしていてもそうだ。どうあるべきという話は全くなしに、今こうなっているからこうしよう、といった議論から始まることが多い。その為のアイデアは泉のように湧き出るのは、それはそれで彼らの才能だが。

 彼らに聞いたことがある。日頃、本を読んでいるか、と。ほとんどの場合、NOという答えが返ってくる。そういえば、セブではナショナルブックセンターがあるとは言え、人口に比べて書店や売られている本の数が極めて少ない。それだけ需要も少ないからだろう。

 フィリピン人の頭脳レベルは決して低くない。彼らが多くの書物を読み、体系的論理的に語るようになれば、彼らに対する見方も大きく変わるだろう。だが残念ながら、最近のASEAN会議の延期やら見ていると、彼らが何をしなければならないのか、よく理解できていないというのが現実のようだ。

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November 17, 2006

第172話 中国の足音

 今日だけで、事務所に鉄屑の引合いが2件ほどあった。私のところは学習塾もやっているが、古物商の認可も持っているので、たまに中古二輪車の引取り依頼などの問合せもある。(よって安いスクーターもあります)

 さて鉄屑だが、最近フィリピンの友人からも3000トンクラスの中古船(バラ積み船)はないか?と聞かれた。目的を聞いたらスクラップメタルを台湾経由で中国に出すと言っていた。最近は造船業界も活況だそうだが、2-3年後にできる新造船をアテにしては、今運びたいモノは運べない。中古船市場もタイトだそうだが、どっちみち、船舶には素人なので手を出すことは難しい。

 この鉄屑も聞いたら中国向けだそうだが、中国の基幹素材獲得への執着はすさまじい。先般、中国からダイナモの大量引合いがあったが、提示された価格は中の銅線欲しさの価格であったと思われる。最近の電線盗難の行き先なども、誰でも凡そ予測ができている。

 私の零細企業にも最近の中国の影響を感じた今日この頃である。

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November 14, 2006

第171話 海外研修生

 これはちょっとひどい。青森県の縫製業者が外国人の研修制度を利用して、不当な待遇で働かせていたという報道。タダでさえ県の最賃608円(時給)しか払わない上、残業は割り増しどころか時給300円ソコソコで働かせていたという。しかも悪事がばれないように対外用の勤怠台帳では残業分はつけずに、振込口座も残業分を分けるという周到さ。

 今、中国はアフリカ各国にバラマキの資源外交を展開中。しかし、そんなことでは人心を得られないことは既に先輩である日本は学んだ。今の日本がすべきことは信頼され尊敬される付き合いかたをすることだ。

 だからこのような“犯罪”はただ犯罪としての捉え方だけでなく、国益の毀損にも繋がる行為でもある。今回の”被害者”は中国から来た研修生とのことだったが、今までは中国から来た研修生の犯罪や不法在留の方が心配されていた。でもどうやら日本人の経営者側にも不埒な輩もいそうだ。日本に来た彼らの日本に対する評価ということにもっと気を配ってもらいたいものだ。

 この研修生の関係でフィリピンで人材を送り出しているエージェントの知り合いがいるが、ちょっと心配になる出来事だ。制度そのものの存亡にも繋がってしまうからである。

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November 11, 2006

第170話 ODA

 最近の新聞で、ODAの不透明な負の部分として、ラオスでの井戸掘削に現地で15万円で掘れるものに200万円を投じている、と報じられていたが、さもありなん。

 セブでも私がいた当時、ODA関係者だったかJICA関係者だったか、我々が居住していたビレッジの中で、大豪邸に一人で住んでいた方がいた。また、農業指導で来られていた方達は毎週土日はセブカンでゴルフ。民間の駐在員である私はは、土曜は勤務だから、日曜しかゴルフ出来なかった。政府関係の立場上メンバー扱いされていたのか、或いは公費でメンバー件をレンタルで得ていたのか、どうしていたのか。温厚な方達で私も一緒にプレーさせて頂いた事があるが、随分と優雅なものだと感心したものだ。

 大使館や領事館の夏休みは1ヶ月ほどあったそうだし、もう少し政府関係者は待遇に見合った働きをして欲しいと言っても、バチは当らないのではないか。

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November 02, 2006

第167話 時間の感性(イギリス人)

 私の教室(実は学習塾もやっています)では英会話を教えるためにイギリス人が在籍している。素人に英語を教えるだけなら、私でも事足りるが、講師が日本人というのと英国人というのではイメージがだいぶ違う。事実、問合せがある場合、聞かれるのは「ナニ人が講師ですか」という質問である。「英国人です」という応えは既にプライオリティが高い。残念ながら「フィリピン人です」と答えると、反応は半減以下になるだろう。日本人が英語を習うときは青目金髪でなくてはならぬ!?

 ところが、このイギリス人という人達に対して日本人は鹿鳴館時代よろしくまだ誤解が多い。はっきり言ってかなりいい加減である(それでも彼はアメリカ人ほどいい加減な連中はいないと言って見下しているが、どう見ても50歩100歩だ)。

 彼は掛け持ちで都内の英会話スクールでも教えている。が、最近彼はそこの教室から契約を切られたそうだ。彼曰く

「電車が遅れたので、教室に入るのが3分遅れた(遅刻)。」

「3分でも遅刻は遅刻でしょ。生徒はお客さん。待たせちゃだめだよ」

「遅刻って、たった3分。しかも電車の遅れは僕のせいじゃない。。それにその時は生徒もまだ来ていなかったから、迷惑はかけてない。あの女の人(多分そこのマネージャ)、ちょっとおかしいネ。クレイジー。」

日本人の感性では、電車は時々遅れるもの、それを織り込んで余裕を持って出勤する。しかも、結果として誰も被害を蒙ってないのだから、問題にしなくてもいいじゃないか、という感性は、異質な日本のビジネス社会では受け入れてもらえない。

 そう、あれだけ自己主張する欧米人でも、時間管理には結構甘い人だっているのだ。いや平均的日本人より相当いい加減だ。

 時間に対する感性の開きで、日本人とフィリピン人の距離を東京と大阪くらいにたとえると、イギリス人は名古屋辺りだ。どうも日本人の方が世界中で仲間はずれにされそうだ。

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October 05, 2006

第156話 フィリピンの歳入増

 最近NNAのニュースで移転価格税制の記事を読んでいたら、大なり小なり海外進出を考えている企業なら無関係な問題ではないだろう、ということを思い出した。多くの企業は当り前のことながら利潤の最大化が課題だ。極端に言えば法律違反でなければ何でもやる。最近お騒がせの某最大手家電メーカーの偽装請負問題なども土俵をずらしてみれば、法的問題など何もないのだ。

さて、問題となる移転価格とは、グループ内会社間の販売価格を意図的に上げたり下げたりして、双方の利益を操作し、結果的にグループ全体として支払う法人税を最小化しようとする企みだ。どこの企業でもギリギリまでの解釈をするのも不思議なことではない。

 個人レベルではどうか。国際租税条約(日本は40~50カ国と結んでいるそうだが)で、個人の総収入に対する課税を任地の国で合算して課税できることになっている。幸運なことにフィリピンでは当局による総収入把握という行動がなされず、我々も本国で受け取る収入(勿論日本国内では住民登録もないため非課税)を知られることもなく、フィリピンにおける現地給与に対してのみ課税されるだけであった。

 フィリピンは慢性的歳入不足だ。居なくなってから言うのも卑怯との批判は甘んじる覚悟で言えば、外国からの駐在員の総収入把握をしっかりやれば、いくらかでもフィリピンの歳入増に寄与するはずだ。

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August 10, 2006

第139話 国民性

 フィリピン人のホスピタリティは誰もが感じるところである。“パキキサマ”とは友好性とでも言うのだろうか。接した人は誰もが温かみを感じる。が、ビジネスの場面では全く逆の印象を受けることも少なくない。
 日本社会で見られる“慇懃無礼”というような事はないのだが、彼らのホスピタリティはやはり表面的なものであり、本当に困ったときでも助けてくれると思ったら大間違いだ。ザックリ言って金にならない事に対しての手助けはほとん期待しない方が良いだろう。このあたりはFTA絡みでの話題の外国人ヘルパーにおいても理解しておくべきことだろう。それでも表面的とは言え、彼らの社交性は我々日本人には欠けているアセットだ。
 さらにフィリピン人を支配しているメンタリティには“ヒヤ”と言われる恥の文化がある。これは日本人は心してかかる必要がある。要はメンツである。日本人にもこの文化は色濃いが、我々日本人はメンツを潰されてもさらに“耐える”文化がある。フィリピン人には耐えるという感性はかなり乏しい。
 現地で日本人が行きずりでない事件に巻き込まれる場合、この辺りが引き金になっていることが多いようだ。欧米に出かけるときには現地での習慣やマナーについて十分に下調べをしていくのに、東南アジアには下駄履きで出かけてしまう日本人は結構多い。

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August 08, 2006

第138話 深酒

 フィリピンとはまことに特異な国だと思う。近隣の国々のいくつかはアジアの国が何たらカンたら言っているようだが、アジアとは東アジアの僅か2~3カ国のことを言わない。と思うからこそ、フィリピンは見捨ててはいけない国なのだと思うのだ。しかし、残念ながらフィリピンにシンパシーを感じる人達にはちょっと違う価値観の人達も少なくない。
 先日taccyさんと一杯お付き合いさせていただいた。現地在住も長く、この国の人達や関わる日本人に対しても明快な意見を持っておられる。また、今後のフィリピンとの関わりのご自身の目標も聞いて、何をしたいかという行動の原点も聞かせていただき、参考になった。
 あらゆる思いでフィリピンに渡っている人達が多いと思うが、この国について語るには、旅行記は別にして、何某かの業(なりわい)を経験していないと、国全体のことをうまく伝えることはできないだろう。業とは必ずしも営利活動でなくてもいい。ある目的のために彼らとともに苦楽をともにした。そのような経験抜きにフィリピン人全体を語るのはちょっと無理がある。 
 多くの人がこの国との関わりで今も苦労が絶えないことと思うが、そういった方々の苦労の積み重ねが後世の両国間の大きな財産になるのではないか。ここは日本にとってまさしくアジアだ。
 先日、少々深酒になってしまったのはご愛嬌である。

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August 05, 2006

第137話 究極の選択?

 ある銀行の日本人の副社長の方からこんな質問をされたことがある。その方は在比暦の長さは勿論のこと、大変見識の深い方だ。
「○○さん、金持ちで美人のフィリピン人の娘と、美人ではないが気立ての良い貧しいフィリピン人の娘、嫁にもらうとするなら、どちらを選びますか?」
ウーン、具体的な対象者がいないので返事に困っていたら、
「私なら貧しい娘の方を選びますね。」と言われた。
「キチンとコントロールしていれば、係累のサポートと言っても大した金額ではないし、とにかく働き者ですからね。金持ちの娘は、家事は一切やらないばかりか、自分の子供の面倒すら見ない。何もしないでブクブク太るばっかりですからね。」
 なるほど、と思ったのは会社に出入りしていたある銀行の女性マネージャの話を聞いたときだ。この女性は働いてはいるが、なかなかの資産家の娘と聞いていた。
「あなたは、料理を作ったり、掃除をしたり、洗濯をしたりすることはありますか?」
彼女は屈託のない笑顔で「Never!」と一言。さらにダメ押しは、
「Why do I have to do them?」
 こういう人が嫁さんなら、確かに長続きはしないだろう。やはり、件の副社長の見方は正しいようだ。

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July 29, 2006

第135話 世界ランキング

 フィリピンが世界に誇るもの、これは色々あるかもしれないが、数字を伴わないものは感覚的なものでしかない。数字を伴って客観的に証明できるものとなると、ハタと考えてしまう。海外に出稼ぎに出る労働者の数とかはかなり突出しているだろうが、誇れるものというよりは、自国に十分な産業基盤がないことの証左であり、むしろ恥ずかしいことである。
 たまたま中学生の地理の教科書を見ていたら、排他的経済水域についての記載が目に留まった。日本は国土面積は大したことないが、排他的経済水域の面積は世界6位だそうだ。もっともここには北方領土や竹島周辺海域も含まれているから、実効支配面積ではもう少し小さいだろう。
 さてフィリピン。同様に島国だ。残念なことに飛び離れたところにある島が少ないため(わが国では沖の鳥島や南鳥島が大健闘)、意外と排他的経済水域は面積としては小さいようだ。しかし、あった。容積である。フィリピンで東海上にはフィリピン海溝があって海は深い。面積では大したことはないが、容積になると10位に浮上する。
 さらにもうひとつ。海岸線の長さだ。だから何なんだ、とも言えるデータだが、世界第3位(日本は6位)だそうだ。しかも人口一人当たりの長さでは世界第1位(日本は3位)
やっと見つかった世界第1位。どれほどの価値があるのか、分かりません。

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July 11, 2006

第131話 1Pesoの価値

 フィリピンで買い物をしていると気が重くなることがひとつ。釣銭の硬貨が重すぎてポケットに入れるとズボンの片方がずり下がってしまうのだ。たかが1ペソでもやけにデカくて重い。そんな1ペソがとんだ主役に。以下NNAの記事を一部抜粋。

マニラ国際貨物港(MICP)で300万ペソ相当の1ペソ硬貨が日本向けの20フィートコンテナに積み込まれていたことが分かった。関税局とフィリピン中央銀行が行った検査により発見された。積み荷は不正申告、および中銀が定める1万ペソ以上の貨幣持ち出しの申告義務を怠ったことで差し押さえられた。コンテナの中身は銅およびニッケルの廃材と申告されていたようだ。
関税局傘下で調査部門を担当するミッチェル・ベルデフロール氏は、「国内で硬貨が不足していた理由が説明できる」とコメント。また硬貨の用途としては、溶解してニッケルと銅に分離させた後、パチンコの玉の原料にするとの憶測も出ている。
硬貨の不正輸出が発見されたのは、今年で既に3回目。2月には97万1,000ペソ相当、3月には20万ペソ相当の硬貨が差し押さえられた。中銀は各行に対し、紙幣から大量の硬貨への両替を行う顧客の情報を提供するよう求めている。(以上7/11の記事から)

 要は、1ペソを持って国内でモノを買うより、費用をかけてでもそのまま外国に売ったほうが高く売れる、ということのようだが、不思議な現象である。物価と貨幣自体の価値が釣り合っていないのだから、素人考えでは貨幣の質を落とすなり、小さくすれば良さそうに思えるのだが、もうちょっと事は複雑なのかな?

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July 07, 2006

第129話 仕事の精度

 フィリピンで今も仕事をしている方々、特にフィリピン人を相手に仕事をしている方々の苦労は尽きないだろう。仕事のプロセス上の進捗にもイライラさせられるが、仕上がり具合についても「何だっ、これは!」となることが多い。
 会社の制服を着ているということは、フィリピンでは一種のステータスである。女子については一応更衣室はあるのだが、誰もが制服のまま通勤する。帰りがけに買い物をするときでも制服のままだ。“私は○○会社に勤めているのよ”とでも言いたげである。ところが、この制服も良く見ればいい加減なつくりだ。
 染色の色が違うくらいでは誰も驚かない。胸ポケットの位置が最大で10センチくらい異なっている。襟の形や大きさもバラバラである。中には明らかに生地の材質が違う者がいた。傑作だったのはボタンの数が5個の者、6個の者、はたまた大きさや材質が違ったり、人生色々である。多少の誤差という範疇は超えていて、これではとてもユニフォームと呼べる代物ではない。こんな状態でよくも堂々と納品するものだとむしろ感心してしまう。そして、クレームをつけたところで希望通りには100年たっても出来ないだろうと、脱力感が支配する。
 こういったことに完璧を求める人はフィリピン人相手に事業をすることはまず無理だ。「大体出来ていれば良しとする」くらいで彼らと向き合わないと、こちらが空回りするだけだ。勿論、日本に向かってはジャパニーズスタンダードでなければ相手にされない訳だから、間に挟まると、ストレスはなお一層のものとなる。

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April 25, 2006

第113話 マナー

 電車に乗っていると、相変わらず携帯電話の電源をどうしろ、マナーモードがどうだこうだ、と車掌もアナウンスに余念が無い。こんなこと、いちいち車内で啓蒙を行っているような国は他にあるのだろうか。
 私はそもそも電話はあまり好きではない。また他人の電話の内容にも興味はない。それに個人的には携帯で喋っている人が隣にいたとしてもそれほどストレスを感じない。第一、うるさいということなら、女子高生の会話や酔っ払いの会話の方がはるかにうるさい。であれば、車掌は“通話はお控えください”でなく“車内における会話はお控えください”でないとおかしい。さてフィリピンでは・・・
 当然、何でもOKである。いかなる公共の場所はもとより、会議中でも私的な電話がかかってくれば遠慮することなく応じている。慣れない頃は私も訝ってみていたものだが、慣れてしまえば、さして迷惑をかけられているとも思えず、逆に自分にかかってきた電話もどんな場所でも応じることが出来るので案外悪くない(会議中下を向いてテキスト打ちに熱中していた某マネージャは論外として)。要はお互い様と、それぞれが認識していればそうそう目くじらを立てることなどなかろう。
 公の場所での携帯電話のあり方については、個人的にはフィリピンスタイルに軍配を上げたい。列車の客車では通話が出来ないからと、デッキに出てきて通話する。ちょっとおかしくないか。客車の中の座っている乗客には迷惑はかけられないが、デッキで立っている乗客なら無視してよいという。どうも日本人のマナーは支離滅裂だ。

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April 18, 2006

第110話 フィリピンでの生産性(2)

 昨日のNNAの特集記事でラ・サール大学院のフレッド吉野先生の記事が掲載されていた。以下は少々長いが、その記事の引用である。
 ちょうど5年前に、教授に会社にお越し戴き、フィリピンにおける製造業の生産性、特に現地人マネージャの管理能力について討論をさせて戴いたことがある。ポイントは自己受容性が高く、課題達成への緊張感のなさが生産性の限界を招いているといった点で、やはり我々の認識と一致していたと思う。


 フィリピンを知る大学院教授フレッド吉野氏が、日系企業が当地でとるべき経営戦略について、苦言と提言を行う。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)は最近、東南アジア諸国連合(ASEAN)とインドの日系企業を対象とした経営実態調査の結果を公表した。それによると、今後の事業展開でフィリピンへの生産拠点の移転を計画している企業はまったくないことが明らかになった。同様にシンガポール、香港、台湾も皆無だったが、中進国・地域として労賃も高いので進出希望がないのは十分理解できるが、途上国のフィリピンが袖にされたのはさびしい。なぜそんなに魅力がないのだろうか。
 嫌われた主な理由は、インフラ整備が不十分、不安定な政治と社会情勢、不透明な政策運営となっている。道路、港湾、空港は老朽化し混雑きわまりなく、経営学でいうボトルネックがひどい。モノを作って輸出するということは単に生産コストだけでなく、運輸などいわゆる取引コストを安くしなければならず、渋滞で時間や燃料代がかさむ状況は芳しくない。
 この取引コストという概念は1991年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のロナルド・コースが初めて世に問うたもの。不安定な政治と社会情勢、不透明な政策運営は当然、取引コスト上昇の要因となる。警備のためにガードマンをたくさん雇ったり、環境基準があいまいで袖の下を払わされたりするのは経費の上乗せとなるから、経営者は単なる生産費だけでなくトータルコストでどこに投資したら一番得策か判断する。要するにフィリピンは経費が余計に掛かり不確実性(リスク)が高いので敬遠したいというのが、大半の日系企業経営者の考えだろう。
 フィリピンがさらに魅力を失っているのは、労働者の質が低い、あるいは近年著しく劣化しつつあるのも一因だ。技能を有するフィリピン人労働者はどんどん海外へ出ていく。医師、看護師、介護士、情報技術(IT)技術者だけでなく、最近は大量のパイロットや整備士が外国の航空会社に引き抜かれ、運航停止の便まで出る始末。フィリピン航空(PAL)ではすでに75人の経験豊かなパイロットが引き抜かれたが、これは全体の17%に当たる。中国、インドの経済発展によってアジアの航空市場は今後大成長することが見込まれ、この勢いは加速すると予想される。整備士にしても2000年以降、1,159人が外国企業に転職した。
 「優秀な数学、科学、コンピューターサイエンスの教師や研究者の流出も後を絶たず、国内に残っているのはクズばかり」という教育専門家もいる。しかも優秀な人材はいったん国を離れたら二度と戻ってこない。外国人である我々も三流の医師ばかりになったらおちおち病気にもなれないし、日本へ帰省するのにPALに乗るのが恐くなってしまう。国内に残っているフィリピン人の質を何とかしないとフィリピンの魅力はますます減じてしまいかねない。
 また政治家などによる不正、汚職、恐喝などが後を絶たず、権力を悪用したレントシーキング(賄賂を請求し許認可などを恣意的に行うこと)も日常茶飯事だ。ビジネススクールやセミナーでは、やれ企業倫理が大切だ、透明性やコーポレートガバナンスを遵守せよとか、一見まじめに議論しているがまったく実行は伴わない。教会のミサで敬けんな祈りを捧げている人が悪らつな詐欺を行っているのをしばしば見聞きするにつけ、この国の道徳・倫理と宗教はどういう関係になっているのか訝ってしまう。
もちろん誠実で立派な人もいる。通信最大手フィリピン長距離電話(PLDT)のパンギリナン会長は、人を採用するに当たっては倫理を最重要視すると言っている。大体、実業界で成功している人物の道徳性は一般より高い。ほかにもフィリピン大学を優秀な成績で卒業しながら、国を良くしたいと薄給でも政府機関に勤めるまじめな青年もいるが、数が少ない。
 今回のジェトロ調査で移転先として最も人気が高かったのがベトナムで17社。同国の2005年経済成長率は中国に次ぐ8.3%で、フィリピンの5%台をしのぐ。国民1人当たりの国内総生産(GDP)は現在750米ドルだが、フィリピンの1,000米ドルに追いつき追い越すのは時間の問題とみられる。ベトナムは第一次産業がしっかりしているので、中国やインドへ産品を輸出することもできるし工業化も進んできている。なんといっても、頑張り屋で手先が器用、賢い。労賃もフィリピンより低い。さらにインフラが充実してきた。またベトナムの工芸品が日本の女性に人気なのからも分かるように、くどい中国文化よりあっさりとしゃれたベトナム文化が日本人に合う。中国への対抗、敵対意識も強いので、逆に比較的親日的なのも魅力の1つだ。世界貿易機関(WTO)に加盟すればいっそう規制緩和が進み、ビジネスがしやすくなるのでは。したがって、フィリピンは早晩、ベトナムに追い越されることになろう。

 緊張感の欠如と危機意識の薄さ、そして現状をあまりにも肯定的に捉える価値観は一朝一夕に変わるものではないだろう。また、そのような意識を持った者はどんどん国外に出て行く。一体どうなってしまうのか。

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April 12, 2006

第109話 皆勤賞

 皆勤賞、あるいは精勤手当、こんな言葉は日本ではほとんど聞かれなくなった。私が小さい頃、町工場で働いていた母親は、毎月のように受け取るそんな名前の手当さえも家計の足しにしていた。時代は変わった。成果を出すことが重要で、毎日一生懸命頑張ったかどうかは今日では評価の対象外である。ところが人海戦術の製造現場では、毎日キチンと出社することはまだまだ重要な要素なのだ。その日の出来高が人間の数にある程度比例する限りは、従業員には休まず出てきてもらうことがとても重要だ。
 会社では半期ごとに年2回、無遅刻無欠勤の従業員に対して表彰を行っていた。いつも大よそ150人位の者が表彰されていた。たいしたものが貰える訳ではないが、数百ペソの記念品は彼女たちにとっては決して安いものではない。有休は買取りがあるから無欠勤に励むのは理解できるとしても、フィリピンの交通事情で無遅刻というのもなかなか大変なことなのだ。
 最近のわが国においてはフリーターの勤労意欲云々が取り沙汰されているが、賃金面だけでなく、モチベーションの面からも外国人労働者に定位置を奪われるのも必然の成り行きかもしれない。面倒なことや嫌いなこと、いやなことはしなくてもいいんだ、という風潮が蔓延している国からは、やがて仕事がなくなってしまっても仕方ない。

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April 10, 2006

第109話 10年ひと昔

 ここ数年、セブでも日本食レストランが増え、中身もグッと良くなってきているようだ。客の数以上に供給側が増えているのだろうから、質が上がるのは経済原則上の必然とも云える。
 私がセブに赴任した当時も日本食レストランはあるにはあったが、数は現在とは比べものにならないくらい少なく、中身も食材の制約上からか寂しかった。それでもウォーターフロントに行けば美味しい和食にありつけたが、値段はちょっと高く、高給取り?の我々でもそうしょっちゅうは行かれない。
 多くの経営者である日本人の陥る過ちは、慣れてくると現地人に任せてしまい、管理業務を手放してしまうところにある。そうなると、そのレストランの行く末はおのずと見えてくる。以下は私が体験した例であるが、これらのレストランは当然のことながら今や存在していない。
・ あさりバターを注文した。黒いツブツブが目立ったが初めは黒胡椒だと思った。なんと砂抜きを全くしていなかったのだ。
・ 主が最近姿を見せなくなったな、と感じ始めた頃から、日本人が好まない漁醤がどの料理にも使われるようになった。結構流行っていた店だったが、当然日本人は敬遠し、やがてローカル客が目立つようになり、いつの日か無くなった。
・ 日本酒を頼んだら、酢が出てきた。当然、こんな店が今あるはずもない。
いくらセブでもこのような店はもはやないだろう。客の数はそう変わらないのだから、供給側が乱立すれば全員がハッピーになれないのは飲食店の宿命だ。成功するのは容易ではなさそうだ。

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March 18, 2006

第102話 失業率8.1%

 最近の数値によれば、フィリピンにおける失業率は昨年10月に比べ今年1月は7.4%から8.1%へとかなり数字的には悪くなっているようだ。日本では0.1%ほど上がったり下がったりするだけでもニュースに取り沙汰されるくらいだから、これは相当の悪化とも言えるだろう。
 尤も、仕事をやめた理由のトップは“疲れた”ということだそうだから、当のフィリピンの人達の受け止め方はもっと楽観的なものだろう。しかし、フィリピンの雇用状況は今後も不安定要因が解消されるようには見えてこない。
 フィリピンはどうしても労働集約型の仕事が中心にならざるを得ない。エレクトロニクスを中心としたこれらの産業は世界的な好不況の影響を受け易く、仕事量の増減の波が激しい。そこで、製造業では正規社員を採用せずに必要なときには派遣社員を使うようになる(この辺りは日本も同じ)。
 フィリピンでは原則的には試用期間以外では派遣等正社員以外での採用は認められていないが、ある例外的事項を活用してこのような雇用をなさしめている。例外とは、季節的な商品の生産に限っては派遣社員を使って良い、ということだ。“季節的”とは果物の収穫など明らかな時期が決まっている、こ