第22話 キュウリはどこへ消えた!(エピローグ)
もうここにいてもしょうがない、早くマニラに帰ろう。この日から2日間フィリピン社長からの華々しい接待の幕が切られた。
よくは覚えてはいないがしゃぶしゃぶのお店に行き腹ごしらえをした後、港の近くだと記憶しているがニッポン人専門の高級クラブへ行った。ドイツの飾り窓は聞いたことはあるが、実際30名近いきれいな女性たちが私を指名してと言わんばかりにアピールしてくる。S君は気に入ったちょっと太目の女の子を指名し、横につけ下手な英語を駆使し楽しい夜をすごした。こんなことが2日間びっちり続き、このときばかりは日本に残してき女房も乳飲み子もすっかり忘れ、だまされた事も、帰国した後役員に言い訳することもすっかりわすれ、今度は自らフィリピンに騙されてもいいという気持になったのがすごく不思議である。フィリピンの人たちはとにかく明るく、人懐こい。ずーっと前から馴染みの客だったのかと勘違いする程の素朴さがよかった。夢のような高級クラブで過ごした後ダバオ、ジェネラルサントスへと大名旅行は続いた。この間もたくさんの面白い話があるのだが、またの機会にする。
ところでニッポンへ戻ったあと、仕入課長がどのような報告を役員にしたのか、S君は知らない。その当時は何のお咎めもなかったと記憶している。それどころか課長はとんとん拍子で出世し、やがて役員にまで上り詰めた。フィリピンだけではない、どうやらニッポンも魑魅魍魎の世界のようだ。
